京都古寺【東寺】  

東寺についてAbout Toji

東寺は弘法大師・空海ゆかりのお寺で、現存する唯一の平安京の遺構と言われています。

よつぐ
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まずは東寺の歴史について簡単に見ていきますね

東寺真言宗総本山。正式名称は「八幡山 金光明四天王 教王護國寺 祕密傳法院」。世界遺産。

桓武天皇による平安遷都の際、羅城門を挟んで東側に「東寺」、西側に「西寺」が建立されました。当初は国家鎮護のための官寺(国立の寺院)でしたが、東寺は嵯峨天皇の時代に弘法大師に託され、真言密教の根本道場となりました。
※その頃から「教王護国寺」とも呼ばれるようになりました

後宇多法皇や後醍醐天皇、足利尊氏など時の権力者からの援助や、弘法大師信仰が民間に広がったことにより寺勢が興隆しますが、文明18年(1486年)の土一揆により金堂や講堂、南大門など主要な建物が焼失してしまいます。

その後、豊臣秀頼や徳川家光により再建がなされ、現在に至っています。

東寺の見どころ5選Highlights

東寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。

よつぐ
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ぜひここに注目しながら拝観してみてください

平安の京都タワー・五重塔

東寺といったらやはり「五重塔」ですね!木造建築では日本一高い塔(約55m)だと言われています。

今でこそ京都駅に「京都タワー」がランドマークとして高くそびえていますが、平安時代の人たちからすると京都のタワーといったらおそらく東寺の五重塔だったのではなかったでしょうか?

ちなみに、東寺の五重塔は上層と下層の大きさがそんなに変わらない塔で(よく「逓減(ていげん)が小さい」と言ったりします)、そのことでスラっとして、より高さが際立ちます。

一方、平安時代より前の飛鳥時代や奈良時代の塔は逓減が大きく(上層と下層の差が大きく)なっています。法隆寺の五重塔は逓減が大きいので、ぜひ機会があれば東寺の五重塔と見比べてみてください!

東寺オリジン・金堂

東寺の南大門をくぐると真っ先に見えてくるのが金堂(本堂)です。その大きさには圧倒されること間違い!

東寺創建時のお堂といったら金堂しかなかったそうで、東寺が弘法大師に下賜されてから諸堂が建立されていきました。そう考えると、この金堂が「東寺オリジン(元祖・東寺)」と言えます。

金堂の中には御本尊で威厳のある薬師如来様、そしてその左右にスマートなお顔立ちをされた日光・月光菩薩様の「薬師三尊」がいらっしゃいます。

また、薬師如来様の足元には十二神将がいるのですが、室生寺の十二神将像のように、それぞれが独特のポージングを決めているのに思わず目を奪われてしまいます笑

密教世界を体現・講堂「立体曼荼羅」

仏像好きの方は講堂がおすすめです。講堂では二十一体の仏像をまとめてご覧いただけます。

中央の五体の如来様を中心として、その右側には五体の菩薩様、さらに左側には五体の明王様がいらっしゃいます。これは如来様がある時は菩薩に、またある時は明王に姿を変えるという密教の「三輪身説(さんりんしんせつ)」という考え方に基づいているそうです。

そして、この十五体の仏像の周りには、梵天と帝釈天、四天王(持国天・増長天・広目天・多聞天)がいらっしゃいます。

この整然と並べられた二十一体の仏像は本当に荘厳で、空海の理想の密教世界を仏像で表現していることから「立体曼荼羅 (羯摩曼陀羅:かつままんだら)」とも呼ばれています。

かの文豪の御用達・西院御影堂

境内の北西には西院と呼ばれるところがあり、そこには国宝『御影堂(大師堂)』というお堂があります。

弘法大師はかつてこのお堂に住んでおられたそうで、高野山奥之院と同じように、弘法大師にお食事を備える「生身供(しょうじんく)」の儀式が毎日行われているそうです。また、こちらには弘法大師の念持仏と伝わる不動明王像が安置されているようですが、残念ながら秘仏のため見ることはできません。

ちなみに、こちらのお堂は司馬遼太郎がいたくお気に入りだったそうで、京都での待ち合わせ場所はこの御影堂の前だったそうです。司馬遼太郎がここで人を待っていたのかぁと思うとなんだか感慨深い…そういったことが書かれた札が御影堂の前に立っていましたので、そちらもぜひご覧ください笑

奈良時代の残影?・伽藍配置

見どころ2」のところでもご紹介しましたが、東寺創建時は金堂しかなく、その後講堂や食堂など諸堂が建てられました。

講堂や食堂は金堂の背後(北側)に建てられていて、南大門からきれいに一直線上に配置されています。
※金堂・講堂・食堂の配置は仏教の三宝と言われる「仏・法・僧」を表しているんだとか

お寺の建物全体をよく「伽藍(がらん)」と言いますが、こういった主要なお堂が南大門から一直線上になっていて、前に塔が突き出ているのは奈良時代のお寺ではメジャーな伽藍配置でした。

そういったことから、平安京に遷都した後でも割と色濃く奈良時代の伝統みたいなものが残されていたのかなと感じました。

剣豪の置き土産・観智院

境内の北側にある北大門を出て、20秒ほど歩くと「観智院(かんちいん)」という東寺の塔頭(たっちゅう:別院)があります。こちらでは仏像の他、お茶室や写経部屋、お庭(枯山水)を拝観することができます。畳敷きで、鹿威しの音が心地よく響く落ち着くところです。

また、こちらでは剣豪で名をはせる宮本武蔵直筆の障壁画(鷲の図)と襖絵(竹林の図)も見ることができます。観智院の案内のおじさんが懇切丁寧に、そして熱く解説してくださいます笑

なんでも、宮本武蔵が追手からこちらにかくまわれ、その時に描いたものなんじゃないかとか。居候の身で武蔵何してんねんと思いつつ、まさか400年経って語り継がれるとは武蔵も思ってなかっただろう…

ぜひ観智院にも足を運んでみてください!(東寺とのセット券あります)

ぐるっと東寺Around Toji

東寺の境内には他にも注目してほしいスポットや展示物があります。
ここでは厳選してご紹介します。

よつぐ
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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は1時間くらいです

南大門

東寺の南大門は焼失と再建を繰り返していますが、現在のものは元は三十三間堂の西大門で、明治28年(1895年)にこちらに移築したそうです。

八島社

南大門を入り右側にある神社で、東寺の建立前からあったそうです。祭神は東寺の地主神とも大己貴神(おおなむち:大国主命)とも言われています。

鎮守八幡宮

延暦15年(796年)に平安京と東寺を守護するために創建されました。弘法大師作と伝わる僧形八幡神坐像と女神坐像が安置されています。

食堂(じきどう)

東寺の北側にあるお堂で、観音堂とも呼ばれています。御本尊は十一面観音様で、堂内はお線香の渋いにおいがします。こちらで写経ができ、御朱印もこちらで書いていただけます。

夜叉神堂

食堂の前にあり、雄と雌の夜叉神像が祀られています。元は南大門の左右に置かれていましたが、拝まないで入ると罰が当たるとの言い伝えがあったことから、こちらに移されたそうです。

宝蔵

境内の西側にある校倉作りの建物です。平安時代の後期に建立されたもので、境内では最古の建物だそうです。ただし、入口に鍵がかかっているため近づくことはできません。

灌頂院

境内の南西にあります。「灌頂(かんじょう)」という密教の教えを師匠から弟子へ伝授する儀式がおこなわれるところです。中に入ることはできません。

小子房

金堂や講堂の西側にあります。建武3年(1336年)に半年間、光厳上皇(北朝)が政務を行っていたそうですが、現在の建物は昭和9年(1934年)に再建されたものです。

宝物館

境内の北東にあります。東寺に伝わる仏像や宝物の収蔵庫です。ただし、春と秋の特別公開時でしか入ることができません。

毘沙門堂

御影堂(大師堂)の前にあります。弘法大師が唐より持ち帰ったと伝わる兜跋(とばつ)毘沙門天像を祀るお堂です。「都七福神まいり」の一つになっています。

高野山遥拝所

御影堂(大師堂)の南西にあります。この遥拝所は弘法大師の御廟がある高野山奥之院がある方角へ向いているため、間接的に高野山奥之院へもお参りできます。

大黒堂

御影堂(大師堂)の西側にあります。大黒天・毘沙門天・弁財天が合体した三面大黒天がお祀りされています。この三面大黒天は弘法大師作と伝わっています。

大日堂

御影堂(大師堂)の北側にあります。元は御影堂の礼拝所で、大日如来様がご本尊になっています。平成12年(2000年)に大改修が行われました。

太元堂

北大門を出たところにあります。鎮護国家を司る大元帥(たいげん)明王と、四天王が祀られています。池に囲まれ、橋が架かった風流なお堂です。

御朱印

東寺の御朱印は食堂でいただけます。たくさん種類がありますが、一番オーソドックスな「弘法大師」にしていただきました。

アクセスと拝観情報Access & Information

最寄り駅から徒歩で行く場合

東寺の最寄り駅は、近鉄京都線「東寺」駅です。

改札口を出て右へそのまま一直線で進んでいくと、約6分で東寺の南大門に到着します。

バスで行く場合

東寺の最寄りのバス停は「東寺東門前」「東寺南門前」「九条大宮」「東寺西門前」の4か所です。

主要バス停(駅)からの乗車時間(目安)は下記の通りです。

  • 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
    ⇒208系統:乗車時間約16分
  • 「京都駅八条口 (各線「京都」駅)」から
    ⇒58系統:乗車時間約8分
  • 「四条京阪前 (京阪「祇園四条」駅)」から
    ⇒207系統:乗車時間約26分
  • 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
    ⇒207系統:乗車時間約23分
  • 「四条烏丸 (阪急「烏丸」駅 / 地下鉄「四条」駅)」から
    ⇒207系統:乗車時間約17分
  • 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
    ⇒18系統 / 71系統 / 207系統:乗車時間約11分
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京都駅からでしたら、バスよりも近鉄京都線で東寺駅まで行った方が良いかもしれません

拝観時間【東寺境内】
8:00~17:00
(最終受付 16:30まで)
※開門は5:00~

【観智院】
9:00~17:00
(最終受付 16:30まで)
拝観料
(通常)
【境内】
無料

【金堂・講堂】
大人:500円
高校生:400円
中学生以下:300円

【観智院】
大人(高校生以上):500円
中学生以下:300円

【金堂・講堂・観知院共通券】
大人(高校生以上):800円
中学生以下:500円
拝観料
(特別拝観時)
【金堂・講堂・観智院】
通常時と同じ

【宝物館】
大人(高校生以上):500円
中学生以下:300円

【金堂・講堂・観智院・宝物館共通券】
大人(高校生以上):1000円
中学生以下:500円
所在地京都市南区九条町1番地
TEL075-662-0250
ホームページhttps://toji.or.jp/
その他境内に有料駐車場有

ちょっとそこまでNeighborhood

東寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

よつぐ
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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

史蹟西寺阯

羅城門を挟んで東寺の反対側(西側)にはかつて「西寺」がありました。鎌倉時代頃にはすでに廃寺になっていたとみられています。現在は公園になっていて石碑が建っています。また、講堂の礎石が残されています。

京都タワー

お馴染み、京都のランドマークです。展望室からは無料の双眼鏡で京都を一望できるようになっています。東寺はもちろんのこと、清水寺や知恩院など、天気が良ければ遠くは大阪城やあべのハルカスなども見ることができます。

京都水族館

東寺の北西にあり、東寺から徒歩だと約11分で行けます。大水槽はもちろんのこと、ペンギンやオオサンショウウオ、チンアナゴなどみることができます。クラゲはとても幻想的でした!カップルや家族連れにもってこいです。

京都鉄道博物館

東寺の北西にあり、東寺から徒歩だと約17分で行けます。平成28年(2016年)に開業しました。鉄道のジオラマや鉄道シミュレーターなどがあり、鉄道好きにはたまらないところです。お子さん連れでも楽しめるスポットです。

東寺周辺地図