京都古寺【清凉寺】  

清凉寺についてAbout Seiryoji

清凉寺は「嵯峨釈迦堂」とも呼ばれ、嵐山の中でも歴史が古いお寺です。

よつぐ
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まずは清凉寺の歴史について簡単に見ていきますね

浄土宗。山号は「五台山(ごだいさん)」。

東大寺の僧であった奝然(ちょうねん)上人が中国・宋へ留学し、その時に巡礼した五台山を日本にうつすことを決意。帰国後、京都の愛宕山を五台山に見立てて寺院を建立する計画でしたが、その願いを叶える前に亡くなってしまいます。

その後、弟子・盛算(じょうさん)が彼の遺志を引き継ぎ、奝然上人が宋より持ち帰った釈迦如来像を棲霞寺(せいかじ)釈迦堂に安置しました。これが清涼寺の始まりとなります。
※ちなみに「清涼寺」の名は、かつて奝然上人が修行した宋の五台山清涼寺に由来

以後は火災や地震等により伽藍が破損してしまいますが、豊臣家や徳川家らの援助により伽藍が復興され、現在に至っています。

清凉寺の見どころ5選Highlights

清凉寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。

よつぐ
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ぜひここに注目しながら拝観してみてください

内臓が出てきた!本堂「釈迦如来像」

清凉寺でぜひ見ていただきたいのが、本堂の「釈迦如来像」。「清凉寺について」でもご紹介した、奝然上人が宋より持ち帰られたものです。

お釈迦様の生前のお姿(37歳時)を写した像と言われ、「生身(しょうしん)の釈迦如来」として多くの信仰を集めました。そのため、鎌倉~江戸時代にかけて多く摸刻(もこく)されたそうです。その時に摸刻された像は「清涼寺式釈迦如来」と呼ばれ、現在でも各地に残っています。

ちなみにこちらの釈迦如来像、なんと調査時に内部から心臓や肺などの内臓が出てきました!もちろん本物の内臓ではなく、絹で作られた模型です。出てきた内臓は「世界最古の内臓模型」と言われています。

ただし、こちらの釈迦如来像は毎月8日(午前11時以降)と、4・5・10月・11月しかご覧いただけませんので注意です。

グルグルグルグル~「一切経蔵」

清凉寺境内の東側には「一切経蔵」というところがあります(写真)。

こちらに近づいてみると何やらお経が聞こえるので法要中かと思いましたが、CDか何かの音声を流していただけでした笑

経蔵の中央には「輪蔵(りんぞう)」という回転式のお経の書庫があり、それを一回転させるとそこに収められているお経を読んだのと同じ功徳があるそうです。清凉寺では珍しく、一般参拝客でもこの輪蔵を回すことができます(別途費用必要)。

実際に回してみましたが、これがなかなか重く、女性やお子さんならかなり大変に感じられるかもしれません。しかもどこも似たようなフォルムなので、どの段階で一回転したのかがいまいちわからず、私は何度もグルグルさせてしまいました…(あ、自分が一回転すればいいのか笑)

棲霞寺の名残り「阿弥陀堂」

清涼寺の境内は元は嵯峨天皇の子・源融(みなもとのとおる)の山荘があった場所でした。源融の死後、その山荘に阿弥陀仏像を安置するための阿弥陀堂が建てられ、「棲霞寺(せいかじ)」となりました。

その棲霞寺阿弥陀堂が、現在の清凉寺阿弥陀堂です(写真)。棲霞寺時代の名残りの建物で、清凉寺始まりの基と言っても過言ではありません。
※ただしお堂自体は文久3年(1863年)に再建されたもの

その後、棲霞寺の釈迦堂に安置した釈迦如来像(現在の本堂の御本尊)があまりにも信仰を集めたため、棲霞寺は清凉寺に吸収消滅されるような形となりました。

ちなみに、源融は源氏物語の光源氏のモデルとも言われ、かなり風流でイケメンだったそうです笑

貴重な仏像がここに!「霊宝館」

阿弥陀堂の裏側(東側)にあるのが「霊宝館」。こちらでは清凉寺に伝わる貴重な仏像・宝物を見ることができます。

まずは入口すぐにある国宝「阿弥陀三尊像」。こちらの阿弥陀三尊像は棲霞寺(現・阿弥陀堂)の御本尊だったものです。中央の阿弥陀如来像は源融を写したものと言われ、端正な顔つきながら体はガッシリ系です。国宝に指定されている阿弥陀如来像は全国でも珍しい(十数体程度)ので必見ですよ!

「阿弥陀三尊像」の他、かなり珍しいと言われる座った状態の毘沙門天像や、釈迦如来像の中から出てきた内臓模型の複製など見られます。

ただし、霊宝館も釈迦如来像と同じく4・5・10月・11月しか公開されていないので注意です。

額縁にもなる大方丈への渡り廊下

清凉寺本堂の裏側(北側)には渡り廊下があり、その廊下を進んでいくと大方丈へ行くことができます。

渡り廊下の周りは池泉庭園になっていますので、四季折々の自然を楽しむことができますよ。個人的におすすめなのが、秋の紅葉の季節。渡り廊下の窓枠を額縁に見立てて見る庭園と紅葉はお見事です(写真)。

紅葉が見頃となる11月下旬頃なら御本尊の釈迦如来像や霊宝館の拝観もできるので、この時期に合わせて拝観してみてはいかがでしょうか?

ちなみに、大方丈前にも少し小さ目ながら小堀遠州作と言われる枯山水庭園もあり、畳敷きのお部屋でじっくり座ってご覧いただけます。また、大方丈ではお写経もすることが可能なので、静かなところでじっくり精神統一されたい方にはおすすめです。

歴史ある「嵯峨大念佛狂言」

清凉寺の境内にある狂言堂では「嵯峨大念佛狂言」というイベントが年に数回開催されています(写真)。

嵯峨大念佛狂言は弘安2年(1279年)に開始されたと伝わる歴史ある狂言で、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。すべて民間の人で行われ、仮面を被って無言で行うといった特徴があるそうです。
嵯峨大念佛狂言についてはこちらをご覧ください

清涼寺の大念佛に関連して、能や狂言に「百萬」という演目があります。奈良の西大寺で母親とはぐれてしまった男の子がある男に拾われ、ある時清凉寺の大念佛会に連れてこられました。そこで踊り狂う百萬という名の女性がおり、その女性が実は男の子の母親だと判明。清涼寺で見事再会するというお話です。踊り手の百萬は、嵯峨大念佛狂言の創始者と伝わる円覚上人の母親がモデルと言われています。

ぐるっと清凉寺Around Seiryoji

清凉寺の境内で見どころ以外で気になったものをご紹介します。

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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は40分くらいです

仁王門

その名の通り、左右に室町時代の仁王像がいらっしゃいます。渡月橋からまっすぐ北上するとこちらの仁王門に達し、昔から「嵯峨野の顔」と呼ばれているそうです。

本堂

清凉寺の本堂は度々火災で焼失してしまい、現在の本堂は元禄14年(1701年)に再建されたものです。再建に当たっては徳川綱吉の母・桂昌院や住友吉左衛門らの援助を受けました。

秀頼公の首塚

本堂の左側にあります。昭和55年(1980年)に大阪城三の丸跡地から出土した豊臣秀頼のものと思われる首がこちらに埋葬されています。首には介錯の跡があったそうです。

薬師寺

「秀頼公の首塚」の左側にあります。清凉寺の塔頭で、嵯峨天皇が弘法大師・空海に作らせたという薬師如来像が御本尊のお寺です。通常非公開で、毎年8/24のみ公開されます。

多宝塔

仁王門を進んで左側にあります。元禄13年(1700年)に、江戸護国寺で御本尊の釈迦如来像を出開帳した際に寄進され、元禄16年(1703年)にこちらに移されたと言われています。

源融公の墓

多宝塔の裏にあります。現在の清凉寺境内に山荘を築いた左大臣・源融のお墓です。ただ、棲霞寺を開山した恒寂(ごうじゃく)法親王のお墓という説もあるそうです。

嵯峨天皇・檀林皇后宝塔

源融公の墓の左側にあります。源融の父・嵯峨天皇とその皇后・檀林(だんりん)皇后の宝塔です。明治以前は嵯峨天皇と檀林皇后の御陵だと考えられていたそうです。

奝然上人墓

嵯峨天皇・檀林皇后宝塔の左側にあります。清凉寺開山の奝然上人のお墓です。元々は別のところにあったそうですが、御本尊の釈迦如来造像1千年を期にこちらに移されたそうです。

聖徳太子殿

多宝塔の裏にあります。八角形のお堂で、法隆寺の夢殿を模して造られたものと言われています。その他、特に詳しいことはわかりません。

大方丈前庭園

小堀遠州作と伝わる大方丈前にある枯山水庭園です。畳敷きの部屋や縁台のところで座ってご覧いただけます。部屋には拝観者用の思い出ノートみたいなものも置かれています笑

愛宕権現社

仁王門を入ってすぐ右側にあります。慶俊僧都が愛宕権現を鷹ヶ峯から愛宕山に移す際、はじめはこちらに愛宕権現を祀っていたそうです。

御朱印

清凉寺の御朱印は本堂内でいただけます。書置きのみとなります。御朱印の文字はやはり本堂の御本尊である「釈迦如来」となります。

アクセスと拝観情報Access & Information

清凉寺へは最寄り駅から、あるいは最寄りのバス停から徒歩で行けます。

JR嵯峨野線「嵯峨嵐山」駅から行く場合

清凉寺の最寄り駅はJR嵯峨野線「嵯峨嵐山」駅です。

嵯峨嵐山駅の北口からそのまま丸太町通まで行き、そこから西(左)へ進みます。

「丸太町通清滝道」の交差点の先にある「長辻通」まで来て、右へ曲がりそのまま進むと清凉寺の仁王門前に着きます。

嵯峨嵐山駅から清凉寺仁王門まで徒歩約16分です。

最寄りのバス停から行く場合

清凉寺の最寄りのバス停は「嵯峨釈迦堂前」です。
※停車するバスの系統は市バス「28」「91」系統と京都バスです

バス停から北へ進み、交差点で左へ曲がると清凉寺の仁王門が見えます。

嵯峨嵐山駅から清凉寺仁王門まで徒歩約3分です。

主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。

  • 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
    ⇒市バス28系統:乗車時間約53分
  • 「嵐山天龍寺前 (嵐電「嵐山」駅」から
    ⇒市バス・京都バス:乗車時間約5分
  • 「阪急嵐山駅前 (阪急「嵐山」駅」から
    ⇒市バス・京都バス:乗車時間約9分
  • 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 嵐電「四条大宮」駅)」から
    ⇒市バス28 / 91系統:乗車時間約38分
  • 「四条烏丸 (地下鉄烏丸線「四条」駅)」から 
    ⇒市バス91系統:乗車時間約44分 
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乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。

拝観時間9:00~16:00
※法要等で拝観できない場合あり
拝観料【境内】
無料

【本堂・大方丈】
大人:400円
高校生・中学生:300円
小学生:200円
※団体割引あり

【本堂・霊宝館共通券】
大人:700円
高校生・中学生:500円
小学生:300円
所在地京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町46
TEL075-861-0343
ホームページhttp://seiryoji.or.jp/
その他境内に有料駐車場有

ちょっとそこまでNeighborhood

清凉寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

宝筐院

清涼寺の仁王門から西へ徒歩1分ほどのところにあります。室町幕府二代将軍・足利義詮(よしあきら)の菩提寺で、義詮の院号「宝筐院」にちなんで、寺名も宝筐院となりました。「小楠公」こと、楠木正行(まさつら)のお墓もあります。

大覚寺

清涼寺の仁王門から北東へ徒歩12分ほどのところにあります。源融の父・嵯峨天皇が離宮嵯峨院を寺に改め建立されました。以後、皇族が住職となる門跡寺院となりました。境内には大きな大沢池があります。

二尊院

清涼寺の仁王門から西へ徒歩9分ほどのところにあります。こちらも源融の父・嵯峨天皇ゆかりのお寺で、御本尊が釈迦如来と阿弥陀如来の二仏を祀ることから、二尊院と呼ばれています。紅葉の名所としても知られています。

祇王寺

清涼寺の仁王門から西へ徒歩13分ほどのところにあります。平清盛に寵愛を受けた白拍子、祇王(ぎおう)が母や妹とともに住んでいたと言われているお寺です。苔庭や紅葉の名所として知られています。

清凉寺周辺地図