京都古寺【相国寺】  

相国寺についてAbout Shokokuji

相国寺は金閣寺や銀閣寺を塔頭に持ち、京都五山の第二位に(一時は第一位にも)列せられたお寺です。

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まずは相国寺の歴史について簡単に見ていきますね

読み方は「しょうこくじ」。臨済宗相国寺派大本山。正式名称は「萬年山(ばんねんざん)相国承天禅寺(しょうこくじょうてんぜんじ)」。

永徳2年(1382年)、室町幕府三代将軍・足利義満が相国寺建立の発願をし、夢窓疎石(むそうそせき)を名目上の開山(初代住職)として建立が開始。
※ちなみに「相国」という言葉は、足利義満が当時任じられていた官職「左大臣」の中国名

発願から十年後の明徳3年(1392年)に完成をみますが、それからわずか2年で火災により伽藍が焼失してしまうという不幸に見舞われます。

すぐに諸堂が再建され、後に七重大塔が建てられるなど最盛期を迎えますが、応仁・文明の乱(室町期)や天明の大火(江戸期)などにより幾度も伽藍の焼失と再建を繰り返し、現在に至ります。

相国寺の見どころHighlight

静かなところでごゆるりと…
「方丈&開山堂庭園」

相国寺でぜひ見ていただきたいのが庭園。

まずは方丈前庭(南側)の「表(おもて)方丈庭園」

禅の「無」の境地を表しているということで、シンプルに白砂だけの枯山水になっています。

方丈の少し手前にある花頭窓からチラ見えの表方丈庭園も乙な感じです笑

白砂は太陽の光が反射しやすいとのことで、方丈の室内を明るくしたり、また庭園のすぐ前(南側)にある法堂の姿を浮き立たせる役割があるんだとか。

そして、方丈北側にあるのが「裏(うら)方丈庭園」。

表方丈庭園と違ってこちらは苔庭になっていて、奥の小高い築山には木々が植えられています。

木々の手前には石で川の流れを再現されていて、山(苔庭)と山(木々)の間に流れる谷川を表現しているのだろうと思います。

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平面的な表方丈庭園と、立体的な裏方丈庭園の対比がお見事でした!

ちなみに、表方丈庭園から裏方丈庭園へ行く通路(方丈の西側)にも庭園があり、こちらは平面の苔庭になっていて、木々が植えられています。

表方丈庭園と裏方丈庭園の中間地点になることから、おそらく両者を足して2で割ったような形になっているのだろうと思います。

さらに、方丈を出て20秒くらいのところに開山堂というところがあり、こちらでも「龍渕水の庭」という庭園が見られます。

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こちらは白砂・苔・木という風に、方丈庭園を贅沢にまとめて1つで見られるようなお庭になっています笑

相国寺はやや観光寺院とは距離を置いているところなので、方丈・開山堂ともに拝観できる期間が限定されています。

そういったことから、そんなに観光客でごった返すというところではないので、拝観時でもゆっくりじっくりお庭を楽しめますよ!

鳴かせてみせよう
『蟠龍図』

庭園の他に、ぜひ見ていただきたいのが狩野光信筆の法堂『蟠龍図』。

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堂内は撮影禁止なので、ぜひ現地でご覧ください

力強いタッチで描かれ、どこから見ても龍と目が合う「八方にらみの龍」として知られています。

そうは言っても、禅宗寺院ではだいたいどこでも天井の龍図が見られます。

ただ、相国寺の『蟠龍図』が他のお寺と違うのが、実はこの龍…鳴くそうです笑

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そのため、「鳴き龍」と呼ばれています!

当然のことながら本当に鳴くのではなく、手を叩くとその音が堂内に反響して龍が鳴いたように聞こえるとか。

反響しやすいところに「ここで手を叩いてください」みたいなシートが置かれていて、そこで手を叩きます。

私自身、他の人が手を叩いているところを聞く限りでは、ただ「パンッ」と手の叩いた音しか聞こえず、これの何が「鳴き龍」なのかさっぱりわかりませんでした。

いざ自分の順番が回ってきて、豊臣秀吉よろしく「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう 蟠龍図」の心境で思いっきり手を叩くと、「パンッ」と鳴った後に、「ゥワンワンワン」という独特の反響音が聞こえました!

よつぐ
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おぉ~これが「鳴き龍」かぁ笑

お寺のスタッフさんいわく、この反響は「フラッターエコー」というそうで、相国寺の法堂では1秒間に16回音が往復するそうです。

相国寺に来たら、ぜひあなたも龍を鳴かせてみせてください!

よつぐ
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ただし法堂内部の拝観は期間限定なのでご注意ください

憎めない狐さん
「宗旦稲荷社」

「宗旦狐(そうたんぎつね)」という狐の話をご存知でしょうか?

昔々、相国寺で千利休の孫である千宗旦のお茶会が開かれたそうです。

茶会

一級茶人らしく、そのお点前は見事なもの。

みんな大満足し千宗旦を見送りますが、すぐ後に「すまんすまん遅れてしもうた」と言って千宗旦が入ってくる…このようなことがよくあったそうです。

「これは千宗旦の偽物がいるぞ」となり、とうとうその偽物を捕まえることに成功。

問い詰めると、自分は相国寺に住む狐で、千宗旦にあこがれてやっていたのだと自供します。

「もう二度としません」といい、狐の姿に戻り逃げていきました。

時を経て、幕末。

宗旦狐は今度はお坊さんに化けて、他のお坊さんと一緒に座禅をしたり托鉢をするなど、相国寺で修行をします。

時には碁を打つこともあり、あまりに熱中しすぎてしっぽを出してしまうこともあったとか笑

宗旦狐
※イメージ図

しかし周りの人たちは正体がわかりつつ、この宗旦狐と付き合っていました。

ある時、相国寺門前の豆腐屋の資金繰りがうまくいかなくなり、宗旦狐は蓮の葉を集めてきて、それを売ってお金にするように言いました。

そのおかげで資金繰りはうまく行き、豆腐屋はお礼にと宗旦狐に鼠の天ぷらをご馳走しました。

しかし、宗旦狐がその天ぷらを食べると神通力が消え、狐の姿に戻ってしまいました。

それを見た近所の犬たちに吠えられびっくりした宗旦狐は、藪の中に逃げ込みましたが、井戸に落ち死んでしまったそうです。

相国寺は寺のために尽くしてくれた宗旦狐の死を哀れみ、祠を築きました。

それが鐘楼のすぐ隣にある「宗旦稲荷社」だそうです。

貴重な美術品が見られる!
「承天美術館」

方丈の東側には「承天美術館」というところがあります。

こちらの美術館では、相国寺をはじめ、金閣寺や銀閣寺など相国寺の塔頭寺院に伝わる美術品が展示されています。

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館内はお線香のような渋い香りがします

第一展示室には金閣寺にある夕佳亭(せっかてい)を再現したものなどが展示されています。

その他、第二展示室では伊藤若冲による障壁画などを見ることができます。

ちなみに、第一展示室から第二展示室にかけての回廊はオープンなガラス張りになっています。

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ガラスの向こうはお庭になっているのですが、太陽の光がガラスに反射してほとんど何も見えなかったです…

国宝や重要文化財に指定されているものが数多いので、相国寺に来たらぜひお立ち寄りをおすすめします!

こちらの美術館に入るには拝観料が必要になりますが、敷地内に入るだけなら拝観料はかかりません。

敷地内はちょっとした公園みたいになっているので、興味があったら覗いてみてください。

私が行った時はちょうど紅葉の季節だったので、敷地内の木々は見事に紅葉していました。

ぐるっと相国寺Around Shokokuji

相国寺で気になったものをいくつか取り上げておきます。

よつぐ
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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は40分くらいです

総門

相国寺境内の南にある通用門です。相国寺の歴史と同様に、総門も過去に焼失と再建を繰り返してきました。現在のものは寛政9年(1797年)再建されました。

勅使門

総門の西側にある門です。その名の通り、天皇の勅使が来たときに通用する門で、普段は閉じられています。こちらの勅使門は近づくことができません。

三門礎石

勅使門の北側には過去に三門がありましたが、こちらも天明8年(1788年)の大火以来、再建されておらず、礎石のみが残っています。近づくことはできません。

法堂

現在の法堂は慶長10年(1605年)に豊臣秀頼の寄進により再建され、五代目の法堂になるそうです。日本国内の法堂建築としては最古のものと言われています。

浴室

法堂の西側にあります。浴室という名前ですが、今でいうサウナみたいなところです。「宣明(せんみょう)」とも呼ばれています。現在の浴室は慶長4年(1596年)に再建されました。

鎮守八幡宮

浴室のすぐ隣にあります。元は上京区の御所八幡町にあったものをこちらに移したそうです。足利義満が男山八幡(石清水八幡宮)の御神体をお迎えして祀ったものだと言われています。

後水尾帝髪歯塚

鎮守八幡宮のすぐ隣にあります。かつてこの場所には後水尾上皇の髪と歯が納められた大塔がありましたが、天明の大火で焼失してしまったので、その跡地にこの歯髪塚を建てたそうです。

経蔵

髪歯塚の隣にあります。経蔵はお経を納めるところです。この場所には宝塔があり、天明の大火で焼失してしまったので、万延元年(1860年)に建立されました。

弁天社

法堂の東側にあります。元は京都御所内の久邇宮邸にありましたが、明治13年(1880年)に東京に移転されることになったので、久邇宮朝彦親王より寄進されたそうです。

鐘楼

弁天社のすぐ隣にあります。相国寺の鐘楼は天明の大火によって焼失してしまい、天保14年(1843年)に再建されました。「洪音楼(こうおんろう)」とも呼ばれています。

庫裏

方丈のすぐ右隣にある建物で、方丈とつながっています。香積院と呼ばれており、文化4年(1807年)に建立されたと伝わっています。こちらへは入ることはできません。

御朱印

相国寺の御朱印は方丈の売店のところで書いていただけます。法堂の別名「無畏堂(むいどう)」と、「圓明(えんみょう)」の2種類があります。私は「無畏堂」にしていただきました。

アクセスと拝観情報Access & Information

相国寺へは最寄駅から徒歩で行くか、最寄りのバス停から徒歩で行く方法があります。

最寄り駅から徒歩で行く場合

相国寺の最寄り駅は、地下鉄烏丸線「今出川」駅です。

今出川駅3番出口を出て、今出川通沿いを東へ進みます。

京都御所の今出川御門のところで左折し、そのまま進むと相国寺の総門前に来ます。

今出川駅から相国寺の総門まで徒歩約7分です。

最寄りのバス停から徒歩で行く場合

相国寺の最寄りのバス停は「同志社前」です。
※「同志社前」に停車するバスの系統は「59」「201」「203」「102(土日祝のみ)」です。

「同志社前」のバス停がある今出川通沿いを西へ進みます。

京都御所の今出川御門のところまで来たら右折し、そのまま進むと相国寺の総門前に来ます。

バス停から相国寺の総門まで徒歩約3分です。

主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。

  • 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
    ⇒「同志社前」までの直通バスがないので、電車(地下鉄)のみとなります
  • 「出町柳駅前 (京阪本線・叡山電鉄「出町柳駅」駅)」から 
    ⇒201 / 203系統:乗車時間約4分 
  • 「北野白梅町 (嵐電「北野白梅町」駅)」から 
    ⇒102 / 203系統:乗車時間約14分 
  • 「三条京阪前 (京阪「三条」駅)」から 
    ⇒59系統:乗車時間約16分 
  • 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
    ⇒59 /201 /203系統:乗車時間約24分
  • 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
    ⇒201 / 203系統:乗車時間約28分
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乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。

拝観時間【境内】
10:00~16:00

【承天美術館】
10:00~17:00
※入館は16:30まで
拝観料【境内】
無料

【承天美術館】
大人:800円
大学生・シニア(65歳以上):600円
高校生・中学生:300円
小学生:200円

※団体割引あり (20名以上)
特別拝観
(期間限定)
【法堂・方丈・開山堂】
大人・大学生:800円
高校生・中学生・シニア(65歳以上):700円
小学生:400円

※団体割引あり (15名以上)
所在地京都市上京区今出川通烏丸東入相国寺門前町701
TEL075-231-0301
ホームページhttps://www.shokoku-ji.jp/
その他境内に駐車場有(4台まで)

ちょっとそこまでNeighborhood

相国寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

京都御所

相国寺の総門から徒歩2分ほどのところにある今出川御門を入ると京都御所(御苑)になります。京都御所は建武4年(1337年)から1869年(明治2年)まで皇居となっていました。事前申込み不要で御所内を参観できます。

上御霊神社

相国寺から北へ徒歩8分ほどのところにあります。桓武天皇の勅願により創建された神社で、桓武天皇の弟・早良(さわら)親王などが祀られています。「応仁の乱勃発地」としても知られています。

相国寺周辺地図