京都古寺【西本願寺】
西本願寺の歴史
About History
西本願寺は浄土真宗本願寺派の本山で、正式名称を「龍谷山(りゅうこくさん) 本願寺」といいます。

西本願寺はどんな歴史を経たのか、簡単に見ていきましょう!

文永9年(1272年)に建立された親鸞聖人の墓所「大谷廟堂」が本願寺の起源です。その後本拠を転々とし、明応5年(1496年)には大坂石山(現在の大阪城があるあたり)に本拠を構えました。それ以後、戦国大名と肩を並べるほどの勢力となりました。
本願寺第11世・顕如(けんにょ)上人の頃に始まった織田信長との交戦(石山合戦)は10年に及び、本願寺は大坂からの退去を余儀なくされました。しかし長男の教如上人は退去に応じず、これが本願寺分裂の発端となります。
後に顕如上人は豊臣秀吉から現在地を寄進され本拠を構えましたが(西本願寺の始まり)、秀吉の死後、長男の教如上人は徳川家康から寺地を与えられ独立したため(東本願寺の始まり)、本願寺が東西で分裂してしまいました。
江戸時代に地震や火災などで諸堂を失いますが、後に再建。平成6年(1994年)には世界文化遺産に登録されました。
西本願寺の見どころ
Highlights
西本願寺にはいくつか見どころがありますが、ここでは次の3つ+1に厳選してご紹介いたします。

それでは1つずつ詳しく見ていきますね!
静謐(せいひつ)なる空間
「国宝二堂」
西本願寺の見どころといったらやはり横並びになっている二堂、「阿弥陀堂」と「御影堂(ごえいどう)」ですね。

まずは二堂に向かって右側(北)にある阿弥陀堂から。

阿弥陀堂はその名の通り、阿弥陀如来様をお祀りしているお堂です。

現在の阿弥陀堂は宝暦10年(1760年))に再建されたもので、国宝に指定されています
浄土真宗では阿弥陀如来様が御本尊になりますので、こちらの阿弥陀堂が西本願寺の本堂になっています(東本願寺でも同様)。
本堂ですのでまずはこちらにお参りしましょう。阿弥陀堂の堂内へは自由に入ることができますよ!


法要時以外であれば、堂内の写真撮影がOKです!
(ただし、他の参拝者の邪魔にならないように)
横45m、奥行き42m、外陣には285枚の畳が敷かれていて、800人が収容できるとのこと。
内陣は平成29年(2017年)から4年8ヶ月かけて修復作業されたこともあり、キラキラ金色が映えてきらびやかになっています。
堂内に掲げられている灯籠もおしゃれできらびやかです。

続いて向かって左(南側)にあるのが「御影堂」。

御影堂は浄土真宗の宗祖・親鸞聖人像(御真影:ごしんねい)が安置されているお堂です。

御真影には親鸞聖人の遺灰が混ぜられていると伝わっています
こちらの御影堂へも自由に入ることができ、内部の写真撮影がOKです(法要時以外)。

横62m、奥行き48m、外陣は441枚の畳が敷かれていて、1200人が収容できるとのことです。

現在の御影堂は寛永13年(1636年))に再建されたもので(江戸時代の木造建築では最大級)、こちらも国宝に指定されています
ちなみに、阿弥陀堂と御影堂は渡り廊下で繋がっています。



こちらの廊下は鶯張りになっていますが、防犯上の観点からではなく、ただ単に金具が緩んでいるだけとか笑
ところで、西本願寺の阿弥陀堂と御影堂では、御影堂の方が大きくなっています。
※東本願寺でも同じ
「御本尊が阿弥陀如来様なのに、浄土真宗では親鸞聖人の方が偉いん?」と思ってしまいそうですが、実はそういうことではないそうです。
御影堂の方が大きい理由は、浄土真宗の門徒数はとても多いので、一度に多くの人が集まっても御真影(親鸞聖人像)を見られるようにしているためだとか。
また、御影堂が大きい方が法話をするにも便利だから、という理由もあるそうです。
The 桃山テイスト!
「唐門」
続いて、西本願寺でぜひとも見ていただきたいのが国宝「唐門」。

ご覧の通り、極彩色の絢爛豪華な門になっています。
日が暮れるのを忘れるぐらい、いつまででも見ていられるので、「日暮門(ひぐらしもん)」という別名があるそうです。



こちらの唐門は天皇の勅使をお迎えする門なので、通常時は出入りできません
門の建立時期や由来などは明確には分かってはいませんが、見た目の豪華さから、桃山文化の影響を多分に受けていることがわかります。
上記の写真はいずれも境内の中から見た様子ですが、この裏側も同じような装飾がされています。


こちらに掲載している写真は圧縮して画質が荒くなっているので、ぜひ生の極彩色をご堪能ください!
ちなみに、こちらの唐門には「虎柄の虎(普通の虎)」と「ヒョウ柄の虎」の装飾がされています。


虎柄の虎(普通の虎)がオスで、ヒョウ柄の虎がメスになっているそうです。
なんでも、日本には虎がいなかったので、当時はヒョウはメスの虎だと信じられてきたとか…
ですので、虎なのにヒョウ柄になっているとのこと笑
大工さんの遊び
「埋木」
木は経年とともに割れたり、穴が空いたりしてしまいます。
西本願寺の建物も木造なので、長い歴史の中で当然そういったことが起こります。
そういった場合は「埋木(うめき)」という形で補修されるそうですが、西本願寺では阿弥陀堂の周辺で特徴的な埋木をご覧いただけます。
例えば阿弥陀堂の南側(渡り廊下側)では次のようなものをご覧いただけます。



阿弥陀堂の北側では次のような埋木をご覧いただけます。


また、次のような「富士山・鷹・茄子 (一富士・二鷹・三茄子)」もご覧いただけますよ!




私はこの3つを探すのに25分くらいかかりました…(特に鷹に15分くらいかかりました笑)
他にも色んな埋木があるので、ご家族やパートナー同士で一緒に探してみるのも楽しいはず!
ミニ境内ツアー
「お西さんを知ろう!」
西本願寺に来たら絶対おすすめなのが「お西さんを知ろう!」。
西本願寺のお坊さんが1日4回(各回30分程度)、下記の時間帯で境内を案内してくださいます(雨天時も決行)。
- 10:00
- 11:30
- 13:45
- 15:30

しかも無料!行かなきゃ損!
案内してくださるお坊さんは総勢30人くらいいらっしゃるそうで、案内する場所は同じですが、話の内容はお坊さんによって多少違うそうです。
「お西さんを知ろう!」に参加してみたい!という方は、上記の時間までに「総合案内所(お茶所)」の室内でお待ちください。


お茶所の名前通り、こちらでお茶が飲めますので、お茶でも飲みながらゆっくり待っておきましょう
ちなみに、「お西さんを知ろう!」に参加すると、「024(おにし)カード」がもらえます。


ビックリマンシールのようにキラキラしています(え、ビックリマンシール知らない?)
「024カード」は全部で24種類あるそうで、全種類集めると何か景品がもらえるそうです。
ただ、その日はどのカードがもらえるかわからないので、全部集めるのは難易度が高そう…
ぐるっと西本願寺
Around Nishi-Honganji
西本願寺の境内で、その他気になったものをいくつか取り上げておきます。

境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は25分くらいです
御影堂門

西本願寺の正門で、その名の通り御影堂の前にある門です。ただし、門の先には「目隠塀(めかくしべい)」があり、直接この門から御影堂を見ることはできません。
阿弥陀堂門

御影堂門の右側(北)にあり、その名の通り阿弥陀堂の前にある門です。阿弥陀堂が西本願寺の本堂になるので、こちらから入るのが正しい方法かもしれません。
大銀杏

西本願寺には御影堂の前に大きな銀杏の木があります。樹齢は約400年で、火災があった時にこの銀杏から水が噴き出して消し止めたという伝説があるそうです。
経蔵

境内の北東にあります。「輪蔵」という回転式の書架にお経が納められており、それを回すとお経を読んだのと同じ功徳があるとされます。特別拝観時のみ内部を見ることができます。
安穏殿

経蔵の裏側にあり、内部には仏教関連の書店があります。こちらにはかつて北集会所(きたしゅうえしょ)という建物があり、この辺り一帯は新選組の屯所となっていたそうです。
太鼓楼

安穏殿の右側にあります。江戸時代にはこちらの太鼓で周囲に時刻を告げていたそうです。新撰組による刀傷が残っているそうですが、近づいて見ることはできません。
大玄関

境内の南西(唐門の近く)にあります。来客を迎え入れる玄関になっていて、通常時は入れません。建立年は定かではありませんが、宝暦10年(1760年)にはすでに存在していたそうです。
総門

御影堂門から横断歩道(堀川通)を渡った先にあります。宝永8年(1711年)に南総門として建立されました。過去3回場所が変わっているそうで、昭和34年(1959年)に現在地に移りました。

ここからは特別拝観時のみ見られるものをご紹介します
対面所

西本願寺の門主との対面に使われていたところで、広さは204畳半あります(西本願寺内で三番目の大きさ)。欄間にコウノトリが描かれているので「鴻(こう)の間」とも呼ばれています。
白書院

対面所の北側にあります。三の間(孔雀の間:写真手前)・二の間・一の間(紫明の間)の3つのお部屋で構成されています。三の間は畳を上げると能舞台に変えられるようになっています。
装束の間

白書院の北側にあり、門主が対面所に出る前にお召し物を整えるところです。襖絵は狩猟を行っている場面が描かれています。狩猟を行う襖絵が寺院にあるのは珍しいそうです。
虎渓(こけい)の庭

対面所の東側にある枯山水庭園です。左右にソテツが植えられており、右側が鶴島、左側が亀島です。写真やや中央奥に見えるのが御影堂の屋根で、中国の廬山(ろざん)を表しています。
八方睨みの猫

虎渓の庭手前の天井に、どこから見ても目が合うという描(写真中央)が描かれています。この天井に描かれた書物をねずみにかじられないようにするために猫が描かれているとのこと。
北能舞台

書院の北側にあります。桃山時代に建立されたものと考えられ、現存する能舞台としては最古のものといわれています。そのため、国宝に指定されています。
南能舞台

対面所の南側にあり、江戸時代前期のものです。対面所の縁側から見ると何も見えないのに、対面所の中から見ると、写真のように後ろに松が見えるという不思議な能舞台です。
飛雲閣

境内の東南にある「滴翠園(てきすいえん)に建つ建物です。金閣・銀閣と並んで「京都三名閣」の一つになっています。特別拝観時でしかご覧いただくことができません(内部拝観は不可)。
アクセスと拝観情報
Access & Information
西本願寺へは最寄駅(各線京都駅あるいは地下鉄五条駅)か、最寄りのバス停から徒歩で行けます。
各線「京都」駅から徒歩で行く場合
まずはJR京都駅の「中央口(烏丸口)」から外に出ます。
外に出ると前に京都タワーがありますので、京都タワー前の梅小路通を西(左)へ進んでいきます。
突き当りまで来ると堀川通になりますので、その堀川通を北(右)へ進んでいきます。
そのまま進んでいくと、西本願寺の御影堂門まで来ます。
京都駅から御影堂門まで徒歩約16分です。
地下鉄烏丸線「五条」駅から徒歩で行く場合
五条駅の8番出口から南へ進んでいくと、東本願寺の築地塀がありますので、その手前にある花屋町通を西(右)へ進んでいきます。
そのまま進んでいくと堀川通が見えますので、そこを南(左)へ進みます。
そうすると、西本願寺の御影堂門まで来ます。
五条駅から御影堂門まで徒歩約14分です。
最寄りのバス停から徒歩で行く場合
西本願寺の最寄りのバス停は「西本願寺前」です。
「西本願寺前」に停車するバスの系統は、市バス「9」「28」「75」「85」と、京阪バスです。
バス停の目の前に西本願寺があるので、すぐにわかると思います。
主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。
- 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
⇒市バス9 / 28 / 75 / 85系統:乗車時間約6分
⇒京阪バス311 / 312系統:乗車時間約6分 - 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
⇒市バス28系統:乗車時間約6分 - 「西大路四条 (阪急「西院」駅)」から
⇒市バス28 / 75 / 85系統:乗車時間約13分 - 「嵐山天龍寺前 (嵐電「嵐山」駅)」から
⇒市バス28 / 85系統:乗車時間約39分 - 「醍醐バスターミナル (地下鉄「醍醐」駅)」から
⇒京阪バス312系統:乗車時間約44分

乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。
拝観時間 | 5:30~17:00 |
拝観料 | 無料 ※期間限定で開催される特別拝観は除く |
所在地 | 京都市下京区堀川通花屋町下る本願寺門前町 |
TEL | 075-371-5181 |
ホームページ | https://www.hongwanji.kyoto/ |
その他 | 無料駐車場有 |
ちょっとそこまで
Neighborhood
西本願寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

お時間があればぜひ一緒に行ってみてください
興正寺

西本願寺のすぐ隣(向かって左)にあります。真宗興正派の本山で、親鸞聖人が京都山科に建てたお堂が始まりと言われています。境内には写真のように紅梅と白梅が咲いており、写真スポットとしても人気があります。
龍谷ミュージアム

西本願寺から東に徒歩1分ほどのところにあります。龍谷大学創立370周年記念として開館した仏教総合博物館で、企画展や特別展が催されています。ちなみに、龍谷大学は西本願寺内に設けられた「学寮」が起源です。
伝道院

西本願寺から東に徒歩2分ほどのところにあります(総門の先)。イスラムのモスクのような独特な形をしているのが特徴で、現在は浄土真宗本願寺派僧侶の教育施設として使われています。通常非公開ですが、イベントの際は入れます。
東本願寺

西本願寺から東に徒歩10分ほどのところにあります。真宗大谷派の本山で、「お東さん」とも呼ばれています。世界最大級の木造建築物である御影堂の他、飛地境内地に「渉成園」という庭園もあります。
京都タワー

西本願寺から南東に徒歩15分ほどのところにあります。展望室からは無料の双眼鏡で京都を一望できるようになっています。清水寺や知恩院など、天気が良ければ遠くは大阪城やあべのハルカスなども見ることができます。
西本願寺周辺地図

以上、西本願寺についてでした!
こちらのページが拝観のご参考になりましたら幸いです^^
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西本願寺に行かれるなら東本願寺もおすすめです。大きな御影堂門や御影堂が見どころです。また、飛地境内の「渉成園」もおすすめです。
知恩院は、親鸞聖人の師・法然上人が入寂されたところで、浄土宗の総本山です。こちらでも大きな御影堂(みえいどう)があり、自由に入ることができます。