京都古寺【仁和寺】 

仁和寺についてAbout Ninnaji

仁和寺は創建時から皇室との関わりが深く、格式の高いお寺として知られています。

よつぐ
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まずは仁和寺の歴史について簡単に見ていきますね

読み方は「にんなじ」。真言宗御室派総本山。山号は「大内山(おおうちさん)」。世界遺産。

光孝天皇により国家安泰と仏法の興隆を願って伽藍の建立が進められましたが、完成を見ずに崩御。子の宇多天皇が引き継ぎ、仁和4年(888年)に落成しました。宇多天皇は出家後、境内に御所や僧坊の機能を持つ「御室(おむろ)」を建立し、以後宇多天皇の子孫が仁和寺の門跡(住職)となります。

真言宗の門跡寺院として隆盛を極め、一時は70余りの堂塔を構えるほどになりましたが、浄土教や禅宗の台頭で陰りが見え、次第に衰退。さらに、応仁・文明の乱では兵火により伽藍が焼失してしまいます。その後、徳川家光の寄進により伽藍が再興されました。

江戸幕末期以降、皇族が門跡になることはなく、宮門跡としての歴史を終え、現在に至っています。

仁和寺の見どころ5選Highlights

仁和寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。

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ぜひここに注目しながら拝観してみてください

時代劇でお馴染み・五重塔

仁和寺といったら、やはり五重塔ではないでしょうか。なんでも、時代劇の風景としてよく使われているとか。おそらく五重塔の周りは木々で覆われていますし、場所によっては庭園や桜と一緒に映すことができるので、画になりやすいんだと思います。

ちなみに、仁和寺の五重塔は上層と下層の大きさがそんなに変わらないため(よく「逓減(ていげん)が小さい」と言ったりします)、スラっとして高さが際立ちやすい特徴があります。
東寺の五重塔も同じ

一方、飛鳥時代や奈良時代の塔は上層と下層の差が結構大きめ(逓減が大きめ)なので、奈良にある塔はだいたい先がシュっとしています。特に法隆寺の五重塔は逓減が大きいので、機会があればぜひ仁和寺の五重塔と見比べてみてください!

現存最古の紫宸殿・金堂

仁和寺は応仁の乱などにより創建時の伽藍は焼失してしまいました。お寺の最も重要なお堂でもある金堂も同様です。

現在の金堂は慶長18年(1613年)に建立されたもので、元は京都御所の紫宸殿(正殿)でした。それが寛永年間(1624年~1644年)にこちらに移築されました。現存する最古の紫宸殿ということなので非常に貴重な建物と言えます。

正面には蔀(しとみ)と呼ばれる格子状の建具があり、蔀は割と宮殿建築に多いものなので、雅な感じが前面に出ています。皇室との関係が深い仁和寺にこそふさわしいお堂と言えます。

金堂は境内の一番奥にあるので、なんとなくドシンと「おごそかに鎮座している」という感じに思えました笑

雅(みやび)全開!御所庭園

雅さといったら本坊内の御所庭園も負けてはいません!

まずは入ってすぐに見えるのが白砂が一面に敷き詰められた宸殿南庭。真っ白な中、左近の桜と右近の橘がポツンポツンとあるのがいい感じです。

そしてぜひ見ていただきたいのが宸殿北庭。こちらも白砂が敷き詰められていますが、池があるのが特徴です。また、なんといっても池越しに見える五重塔がまた贅沢!特に秋の紅葉の時期は緑と赤のきれいなコントラストで彩られます(写真)。

ちなみに、御所庭園にある宸殿では将棋の「竜王戦」が行われるそうで、藤井聡太さんも来られたことがあるとか。対局で使われた部屋もご覧いただくことができます(ただし中に入ることは不可)。

いとをかし・御室桜

仁和寺は「日本さくら名所100選」に選ばれていて、仁和寺の桜といったら御室桜です。中門をくぐってすぐ左手側に一面桜が咲いています。こちらも御所庭園と同様、五重塔を借景にご覧いただけます(写真)。

御室桜は樹高が2mほどと低いため、人の目線に近いのが特徴です。樹高が低いのは土中に酸素や栄養分が少なく、桜が根を深くのばせないからだとか。花(鼻)が低いことから「お多福桜」とも呼ばれているそうです笑

例年見頃が4月上旬~4月中旬ごろということでやや遅めになりますので、他の地域で桜を楽しんだ後も引き続き楽しめますよ!仁和寺では御室桜以外にもソメイヨシノやしだれ桜もありますので、ぜひ桜のシーズンは仁和寺にお越しください!
※御室桜の時期は大人のみ特別入山料が必要です

ここでもできる!八十八ヶ所霊場巡り

仁和寺裏山の成就山には四国八十八ヶ所霊場巡りを模した「御室八十八ヶ所霊場巡り」があります。

四国八十八ヶ所霊場巡りと同様に、第一番の「霊山寺」から順番に周っていき、第八十八番の「大窪寺」までくれば結願(けちがん)です。それぞれの札所にはお堂が建っており、実際にそのお寺のお砂が埋められているとか。

境内の北西にある御影堂でまずはスタンプをもらい、そのすぐ近くにお遍路のスタート地点がありますので、そこから出発します(写真)。

一周約3kmで約2時間かかるというので私はさすがにできませんでしたが、ハイキングで周る人も多いようなので、我こそはという方はぜひ挑戦してみてください。

おっちょこちょいのお坊さん

兼好法師の『徒然草』には仁和寺のお坊さんに関する話があり、ここでは中学校の教科書にも出てくる五十二段をご紹介します。

仁和寺のある法師は年齢を重ねても石清水八幡宮に行ったことがなかったので、ある時ふらっと一人で行きます。しかし、石清水八幡宮の山のふもとにある極楽寺と高良神社を石清水八幡宮と勘違いし、そのまま帰って来てしまったとか…その法師は友達に「なぜか他の人はさらに山に登っていくんですよ。私は石清水八幡宮に行くのが目的だったので登りませんでしたけど」と言ったそうです。

こんなおっちょこちょいなお坊さんがいる仁和寺に思わず親しみを感じてしまいますね笑
※ちなみに写真は兼好法師の庵跡だという長泉寺(仁和寺から徒歩約9分)というお寺で、お墓もあるそうです。ただ、門は閉ざされています。

ぐるっと仁和寺Around Ninnaji

仁和寺の境内で特に気になったものをいくつか取り上げておきます。

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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は40分くらいです

二王門

仁和寺の南に位置する正門です。寛永18年(1641年)から正保2年(1645年)にかけて再建されました。その名の通り阿吽の二王が左右にいらっしゃいます。

本坊

二王門を入ってすぐ左側にあります。こちらの本坊内に御所庭園や宸殿、黒書院、白書院、寺務所などがあります。本坊内は靴を脱いで入ります。

勅使門

参道沿いにあります。元の勅使門は明治20年(1887年)に焼失してしまい、大正2年(1913年)に京都の庭技師・亀岡末吉の設計により再建されました。こちらから出入りはできません。

宸殿

本坊内にあります。宸殿の北と南にあるのが御所庭園です。こちらも勅使門と同様、元の宸殿は焼失してしまい、大正3年(1914年)に再建されました。

霊明殿

宸殿の渡り廊下を進んでいくとあります。御本尊として薬師如来が祀られており、歴代門跡の位牌が安置されています。中には入れません。

中門

二王門をまっすぐ進んでいくとあります。こちらも二王門と同様、寛永18年(1641年)から正保2年(1645年)にかけて再建されました。

観音堂

中門を進んで左側にあります。千手観音菩薩を御本尊としています。寛永18年(1641年)から正保元年(1644年)にかけて再建されました。

令和阿弥陀堂

観音堂の左側にある通路を進んでいくとあります。令和元年(2019年)に建立された新しいお堂で、100回忌までの供養していただけるそうです。

御影堂

令和阿弥陀堂の北側にあるお堂で、弘法大師や宇多法皇が祀られています。お堂は清涼殿の一部が使われ、寛永年間(1624~1644年)に再建されました。

水掛不動尊

こちらの不動明王に水を掛けて一願を祈願することから水掛不動尊と呼ばれているそうです。また、こちらには菅原道真が座ったとされる腰掛石もあります。

経蔵

金堂の東側にあります。寛永~正保年間(1644~1648年)に再建されました。お経を納める輪蔵という回転式の書架があるそうですが、中には入れません。

九所明神

五重塔の東側にあります。仁和寺の鎮守社で、3つの社殿があります。石清水八幡宮や上賀茂・下鴨神社、伏見稲荷大社、松尾大社など九社が祭神になっています。

霊宝館

中門の手前にあります。仁和寺に伝わる貴重な仏像や宝物が見られるところです。ただし、春と秋の期間限定でしか見られません。

御朱印

仁和寺の御朱印は金堂の手前にある納経所でいただけます。複数ありますが、私は金堂の御本尊「阿弥陀如来」にしていただきました。限定の書置き御朱印もあります。

アクセスと拝観情報Access & Information

仁和寺へは最寄駅から徒歩で行くか、最寄りのバス停から徒歩で行く方法があります。

最寄り駅から徒歩で行く場合

仁和寺の最寄駅は嵐電(京福電鉄)「御室仁和寺」駅です。

御室仁和寺駅から北へ直進すると仁和寺の二王門の前に来ます。

駅から仁和寺二王門まで徒歩でおよそ3分です。

最寄りのバス停から徒歩で行く場合

仁和寺の最寄のバス停は「御室仁和寺」です。
※停車するバスはJRバスと市バス「10」「26」「59」系統です

バス停のすぐ前に二王門があります。

主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。

  • 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
    ⇒JRバス / 26系統:乗車時間約38~47分
  • 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
    ⇒JRバス / 26系統:乗車時間約26~28分
  • 「烏丸今出川 (地下鉄烏丸線「今出川」駅)」から
    ⇒59系統:乗車時間約29分
  • 「三条京阪前 (京阪「三条」駅)」から
    ⇒10 / 59系統:乗車時間約42分
  • 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
    ⇒10 / 59系統:乗車時間約50分
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乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。

拝観時間9:00~17:00 (3月〜11月)
9:00~16:30 (11月〜2月)
※受付は閉門30分前まで
拝観料【境内】
無料

【御所庭園】
大人:800円
高校生以下:無料

【霊宝館(期間限定)】
大人:800円
高校生以下:無料

【御室花まつり(春季)】
大人:500円
高校生以下:無料

※いずれも団体割引あり (15名以上)
※身障者割引あり
所在地京都府京都市右京区御室大内33
TEL075-461-1155
ホームページhttps://ninnaji.jp/
その他有料駐車場有(100台)
JAFクーポン利用可(記念品授与)

ちょっとそこまでNeighborhood

仁和寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

五智山蓮華寺

仁和寺の東門からそのまままっすぐ進むとあります。真言宗御室派の別格本山の寺院で、境内に石仏がたくさん並んでいるのが特徴です。弘法大師が伝えた「きゅうり封じ」と呼ばれる病気平癒の法要をされています。

妙心寺

仁和寺の二王門からだと南東に向かって徒歩15分ほどで行けます。花園天皇により創建された臨済宗妙心寺派大本山のお寺です。臨済宗妙心寺派は臨済宗の中で最も末寺を有していることから、「日本最大の禅寺」と言われています。
妙心寺についてはこちらをご覧ください

龍安寺

仁和寺の二王門からだと北東に向かって徒歩13分ほどで行けます。龍安寺は妙心寺の塔頭で、細川勝元が宝徳2年(1450年)に創建しました。「龍安寺の石庭」として世界的にも有名で、世界遺産にもなっています。
龍安寺についてはこちらをご覧ください

等持院

仁和寺の二王門からだと、北東に向かって徒歩20分ほどで行けます。室町幕府足利氏の菩提寺で、足利尊氏のお墓があります。お抹茶席があり、お抹茶を飲みながらお庭をご覧いただけます。

仁和寺周辺地図