京都古寺【清水寺】
清水寺についてAbout Kiyomizudera
清水寺は国内・海外の方問わず、京都随一の人気を誇る古寺です。
まずは清水寺の歴史について簡単に見ていきますね
北法相宗大本山。山号は「音羽山(おとわさん)」。世界遺産。
興福寺の僧であった延鎮(えんちん)上人が、宝亀9年(778年)に音羽山山中に仮仏殿を造り、観音様をお祀りしたのが始まりと言われています。
その後、延鎮上人の教えに感銘を受けた坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が長岡京にあった自邸を移築奉納し、それを本堂とし伽藍が整備されていきました。
創建から10度を超える火災で堂塔が焼失してしまいますが、その度に再建されました。本堂を含め、現在の建物の多くは徳川家光の寄進により再建されたものです。
長らく興福寺の末寺となっていましたが、昭和40年(1965年)に「北法相大本山」として独立し、現在に至っています。
清水寺の見どころ5選Highlights
清水寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。
ぜひここに注目しながら拝観してみてください
ことわざはマジだった!清水の舞台
清水寺の見どころといったらやはり本堂の舞台。
一大決心をする時の様子を表すことわざとして「清水の舞台から飛び降りる」なんて言葉もありますね。しかしよくよく調べてみると、本当に清水の舞台から飛び降りた人がいたとか!記録に残っているだけでも江戸時代に234人が飛び降りたそうです…
「清水の舞台から飛び降りるような気持ち(思い)で…」とか「~飛び降りるつもりで…」という風にたとえとして使うのが一般的ですが、まさかマジだったとは!でも意外や意外、飛び降りた8割以上の方は助かっているそうです。
その後、あまりに危険なので明治政府が飛び降り禁止令を出したとか…当然今もやったらダメです笑
清水寺オリジン・音羽の瀧
「清水寺について」でもご紹介したように、清水寺の創建者は延鎮上人という方です。この方は夢のお告げに従って北へ北へと進み、滝を見つけました。
その滝のほとりには行叡居士(ぎょうえいこじ)という老人がおり、「ここに寺を建ててほしい」と言われ、その言葉通り寺を建立しました。この、延鎮上人が見つけた滝というのが「音羽の瀧(写真)」です。
相当な御利益があるとしてパワースポットの一面が強い音羽の瀧ですが、清水寺の起源でもあるのでぜひ見ておきたいところです。「清水寺」という名前も、この滝の水がきれいだったことに由来しています。
ちなみに、向かって右が「延命長寿」、真ん中が「恋愛成就」、左が「学業成就」のご利益がある霊水とされています。
我が身の将来を占う?錫杖と下駄
本堂の前に、年季の入った鉄製の錫杖(しゃくじょう)と下駄が置かれています(写真)。なんとこちらは、かの有名な弁慶が使っていたものだと伝わっています。
錫杖は太い大錫杖と細い小錫杖があり、男性は大錫杖、女性は小錫杖を片手で持ちあげられると願いが叶うとか。
※大錫杖は100kg弱あるので、男性は良いところ見せようと思って腰をいわさ(痛め)ないように!
そして鉄下駄は、鼻緒の部分を女性が撫でると履物に困らなくなるそうで(転じて、お金に困らなくなる)、一方男性が撫でると女性に縛られる人生を送る(転じて、浮気をしなくなる)そうです。これからおしゃれを楽しみたい女性はぜひ鉄下駄を撫でておきましょう。そして、撫でたがらない男性には要注意です笑
極楽浄土に想いを馳せて…西門からの眺め
清水寺は山の中腹に建っているので、清水寺から見下ろす眺めも素晴らしいですよ!本堂の舞台でしたら京都タワーをはじめ、京都市内を望むことができます。また、舞台の先にある奥の院近くからだと本堂と市内を同時に見ることができます。
個人的に好きなのが仁王門のちょっと先にある西門からの眺め(写真)。門をフォトフレームのように見立てて、そこに写る光景がまた乙です!
ちなみに、「日想観(にっそうかん)」という西の空に沈む夕日を見ながら極楽浄土に想いを馳せる修行があるそうですが、清水寺の西門は日想観の聖地となっているそうです。
朝や昼の明るいきらびやかな清水寺もいいですが、夕方の清水寺もいいですよ!
見逃し厳禁!随求堂「胎内めぐり」
仁王門を進んで突き当りに「随求堂(ずいぐどう)」というお堂があり(写真)、御本尊は「大随求菩薩」様といいます。
お名前が「求めに随(したが)う」と書くことからもわかる通り、我々の求め(願い)を聴いてくださるなんともありがい菩薩様です。清水寺にお参りされたら絶対に行っておきたいところです。
また、こちらでは「胎内めぐり」といって、大随求菩薩様のお腹の中に見立てた暗闇(堂内の地下)の中をぐるっと巡ることができます。途中に随求石という石があり、そちらに触れて願い事をするそうです。
しかし漆黒の闇の中を、通路の左側にある手すりだけを頼りに進んでいかないといけません…私は前に進むことだけに必死になりすぎて石を見逃してしまい、気づいたら生まれて(外に出て)しまいました笑
恐怖!?首が回るお地蔵さん
清水寺の境内を歩いていると各所でお地蔵さんを見かけます。清水寺では観音様がメインですが、地蔵信仰も古くからあったそうです。
清水寺のお地蔵さんというと、ぜひ注目していただきたいのが仁王門手前にある「地蔵院善光寺堂(写真)」のお地蔵さん。その名も「首振地蔵(くびふりじぞう)」。
※写真の右側にある赤いよだれかけをしたお地蔵さんです
実はこのお地蔵さん、首が360度回ります…(えっ?こわいこわいこわい)。なんでも、首を回してお願い事をすると叶うとか。
好きな人がいる方角へ首を回してお願いすれば恋愛が成就するとも言われ、縁結びのお地蔵さんとしても知られています。気になる方はぜひ回してみてください。でも勢いあまって首をもいでしまわないように笑
ぐるっと清水寺Around Kiyomizudera
清水寺の境内で特に気になったものをいくつか取り上げておきます。
境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は1時間半くらいです
仁王門
清水寺の正門で、室町時代に再建されました。鎌倉時代末期の金剛力士像が安置されています。朱塗りで少し高いところに建っているのが特徴で、こちらも撮影スポットになっています。
馬駐(うまとどめ)
仁王門に向かって左側にあります。その名の通り、参詣者が乗ってきた馬をとめておくためのところです(今でいう駐車場)。室町時代に再建されたものだと言われています。
鐘楼
仁王門前にある石段を上っていくと左側にあります。慶長12年(1607年)に再建されたもので、中に吊られている梵鐘は室町時代のものだと言われています。
三重塔
西門の裏(東側)にあります。寛永9年(1632年)に再建されたものです。内部には大日如来様が安置されているそうですが、中を見ることはできません。
鎮守堂(春日社)
仁王門をくぐって突き当りにある随求堂の近くにあり、春日大社(奈良)の神様を祀っています。清水寺の本寺であった興福寺と、春日大社は藤原氏が建立したものです。
千体石仏群
鎮守堂の近くにあります。各地域で祀られていた石仏が、明治時代の廃仏毀釈に伴ってこちらにもってこられたようです。千体あるかどうかはわかりませんが、かなり多いです…
月照・信海碑
江戸幕末の清水寺の僧侶であった月照上人と信海上人(月照の弟)の碑です。勤王思想をもっていたため幕府から追われ、月照は入水自殺、信海は捕らえられ獄死してしまいます。
成就院
千体石仏群の近くにあります。清水寺の塔頭(たっちゅう:別院)で、本坊になっています。月照・信海両上人は成就院の住持をされていました。春と秋のみ公開されます。
田村堂(開山堂)
拝観受付の前にあるお堂です。寛永10年(1633年)に再建されました。清水寺創建に関わった坂上田村麻呂夫妻・延鎮上人・行叡居士を祀っています。中に入ることはできません。
朝倉堂
本堂へ行く轟門のすぐ隣にあります。越前国の守護大名であった朝倉貞景が寄進した建物であったため「朝倉堂」と呼ばれています。ただし、現在の建物は再建されたものです。
本堂
現在の本堂は寛永10年(1633年)に徳川家光の寄進によって再建されました。御本尊は十一面千手観音菩薩で秘仏となっており、33年に一度のみ公開されます。
釈迦堂
本堂を出てそのまま進むとあります。寛永8年(1631年)に再建にされました。昭和47年(1972年)に豪雨で倒壊し、3 年後に復旧。釈迦三尊像を祀っています。
阿弥陀堂
釈迦堂の右隣にあります。音羽の瀧の山手にあることから「瀧山寺(りょうせんじ・たきやまでら)」とも呼ばれていたそうです。法然上人二十五霊場第13番札所になっています。
奥の院
阿弥陀堂の右隣にあります。寛永10年(1633年)に再建されました。こちらでも本堂と同じようにせり出した舞台があり、本堂や京都市内を見ることができます。
濡れ手観音
奥の院の裏側にある、小さな観音様の石仏です。左隣にある柄杓で水をくみ、肩からかけて自分自身の心身の清めと諸願成就を祈願すると良いそうです。
子安塔
明応9年(1500年)に再建されたもので、安産の塔として信仰を集めました。現在は境内の南の、本堂からかなり離れたところにありますが、元は仁王門の近くにあったそうです。
アテルイ・モレの碑
坂上田村麻呂と戦った蝦夷の首長・阿弖流為(アテルイ)と母禮(モレ)の碑です。田村麻呂は彼らの助命嘆願をしましたが、朝廷に認められず死罪となりました。
御朱印
清水寺の御朱印は本堂近くの他、音羽の滝や阿弥陀堂、奥の院でもいただけます。色んなパターンがありますが、私は一番オーソドックな「大悲閣」と書いていただきました。
アクセスと拝観情報Access & Information
清水寺へは最寄りのバス停(「清水道」か「五条坂」)から徒歩で行くのをおすすめします。
「清水道」から徒歩で行く場合
「清水道」に停車するバスの系統は「86」「106」「202」「206」「207」「EX100(土日祝のみ)」「58(土日祝のみ)」「京都バス83系統」です
「清水道」の交差点から清水坂を上っていくと清水寺の仁王門前に到着します。
主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。
- 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
⇒86 / 106 / 206系統:乗車時間約16分 - 「九条近鉄前 (近鉄「東寺」駅)」から
⇒202 / 207系統:乗車時間約23分 - 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
⇒207系統:乗車時間約21分 - 「四条烏丸 (地下鉄烏丸線「四条」駅)」から
⇒207系統:乗車時間約15分 - 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
⇒58 / 207系統・京阪バス83A系統:乗車時間約9分 - 「四条京阪前 (京阪「祇園四条」駅)」から
⇒207系統:乗車時間約7分
乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。
「五条坂」から徒歩で行く場合
「五条坂」に停車するバスの系統は「86」「106」「202」「206」「207」「EX100(土日祝のみ)」「EX101(土日祝のみ)」「58(土日祝のみ)」「京都バス84系統」です
「五条坂」交差点の東側にある五条坂を上っていくと清水寺の仁王門前に到着します。
途中で道が分かれるところ(「茶わん坂(清水新道)」)がありますが、そちらからでも行けます
主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。
- 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
⇒86 / 106 / 206系統:乗車時間約15分
⇒EX100 / EX101系統:乗車時間約10分 - 「九条近鉄前 (近鉄「東寺」駅)」から
⇒202 / 207系統:乗車時間約22分 - 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
⇒207系統:乗車時間約23分 - 「四条烏丸 (地下鉄烏丸線「四条」駅)」から
⇒207系統:乗車時間約17分 - 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
⇒58 / 207系統・京阪バス84A系統:乗車時間約11分 - 「四条京阪前 (京阪「祇園四条」駅)」から
⇒207系統:乗車時間約9分
乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。
拝観時間 | 9:00~18:00 (1/1〜6/30・9/1~12/31) 9:00~18:30 (7/1〜8/31) ※春・夏・秋に開催される夜の特別拝観時は21:30まで(受付は21:00まで) |
拝観料 | 【境内】 無料 【本堂から先】 大人(高校生以上):500円 中学生・小学生:200円 【随求堂】 100円 |
所在地 | 京都市東山区清水一丁目294 |
TEL | 075-551-1234 |
ホームページ | https://www.kiyomizudera.or.jp/ |
その他 | 境内に駐車場無し (近隣に市営・民間有料駐車場有) |
ちょっとそこまでNeighborhood
清水寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。
お時間があればぜひ一緒に行ってみてください
京都地主神社
清水寺の舞台を出てすぐにあります。縁結びの神様として人気があり、「恋占いの石」が有名です。ただし、2022年8月から3年の予定で社殿修復工事を行っており、現在は参拝休止になっています。
法観寺(八坂の塔)
清水寺から徒歩10分ほどのところにあります。臨済宗建仁寺派の寺院で、「八坂の塔」と呼ばれる五重塔が有名です。写真は京都を表す風景としてよく取り上げられる構図ですが、産寧坂を下っていくとこのように見えます。
金剛寺(八坂庚申堂)
清水寺から徒歩10分ほどで、法観寺のすぐ近くにあります。天台宗の寺院で、日本三庚申の一つです(そのほかは大阪四天王寺・東京浅草寺)。境内のいたるところに吊り下げられているカラフルな「くくり猿」が有名です。
高台寺
清水寺から徒歩10分ほどのところにあります。清水坂から産寧坂、二年坂と下っていくとあります。臨済宗建仁寺派の寺院で、豊臣秀吉の正室である北政所(おね)が秀吉の冥福を祈るために建立しました。
⇒高台寺についてはこちらをご覧ください
清水寺周辺地図
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清水寺は長らく興福寺(奈良市)の末寺となっていました。興福寺では阿修羅像をはじめ、すばらしい仏像や宝物が見られる国宝館がおすすめです。
本堂の舞台といったら、奈良の長谷寺(桜井市)もおすすめです。清水寺と同じく、御本尊が観音様のお寺です。「花の御寺」とも呼ばれています。