京都古寺【神護寺】  

神護寺についてAbout Jingoji

神護寺は高雄山の中腹にあり、自然に囲まれた歴史ある山岳寺院です。

よつぐ
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まずは神護寺の歴史について簡単に見ていきますね

高野山真言宗。正式名は「高雄山 神護国祚真言寺(じんごこくそしんごんじ)」。

現在の神護寺の地に元々あった和気(わけ)氏の氏寺「高雄山寺(たかおさんじ)」が始まりで、天長元年(824年)には同じく和気氏の氏寺であった神願寺と合併し、「神護国祚真言寺」となりました。

平安末期にはすでに荒廃していましたが、文覚(もんがく)上人らの尽力により復興をとげます。しかしその後、応仁・文明の乱や細川晴元による高雄城攻めのあおりを受け、ほとんどの伽藍が焼失してしまいました。

江戸期に次第に復興されていきますが、明治期の廃仏毀釈の流れにより寺領が縮小し、現在に至ります。創建1200年を記念して令和6年(2024年)には『神護寺展』が東京で開催され、延べ18万人の来場者がありました。 

神護寺の見どころ5選Highlights

神護寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。

よつぐ
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ぜひここに注目しながら拝観してみてください

厳しくもお優しい・金堂「薬師如来」

個人的に神護寺で一番見ていただきたいのが、金堂にいらっしゃる御本尊の国宝『木造薬師如来立像』。高さ170cmほどと、人と同じくらいで結構ムッチリ(特にモモ辺り)なお姿です。

ぜひ注目していただきたいのがその御表情。「如来」と付いていますが、口がややへの字口になっていて、これがなかなか厳しいお顔をされています…

「はるばる来てくれてありがと。でもあんた遅かったじゃないの!!」と怒られているような感じがして、背筋が伸びます。ただなぜか厳しい中にも優しさみたいなものも感じる不思議な薬師如来様でした笑

ちなみに、御本尊の周りには日光・月光菩薩やボディーガードの十二神将、四天王がいらっしゃり、オールスター感満載です!

忖度しない和気清麻呂公

神護寺の起源となる高雄山寺は和気清麻呂(わけのきよまろ)が創建したとも言われ、境内には和気清麻呂霊廟(写真)、さらに境内の山の方に入っていくと和気清麻呂墓があります。

和気清麻呂と言えば「宇佐八幡宮神託事件」。称徳天皇から寵愛を受けていた僧・道鏡を次の天皇にすべしという神のお告げがあったということで、それが事実か和気清麻呂が確認しに行ったところ嘘だと判明。

称徳天皇や道鏡に「御神託は嘘でした(むしろ道鏡なんかを天皇にしたらあかんと言うてます)」と伝えると、天皇になりたかった道鏡の逆鱗に触れ、左遷された上に名前も「別部穢麻呂(わけべのきたなまろ)」に変えさせられたという。清麻呂から穢麻呂…これイジメです。時の絶対的権力者を前に普通なら忖度してしまいそうですが、ないものはない!ときっぱり事実を伝え、万世一系を保った清麻呂公に敬意を表したい。

厄をぶん投げろ!かわらけ投げ

神護寺でぜひやっていただきたいのが「かわらけ投げ」。「厄除」と書かれた土器を清滝川が流れる錦雲渓(きんうんけい)という谷の方へ向かって投げる厄除け行事(?)です。
※ちなみに、かわらけ投げは神護寺発祥とのこと

3枚200円で土器を購入することができ、購入時に売店のお姉さんがどう投げると良いかレクチャーしてくださいます笑

お姉さん曰く、上に向かって投げるよりも下(谷)に向かって投げた方が良く飛ぶとのことで、レクチャー通り谷に向かって投げるとスルスルときれいに滑空しながら落ちていきました。

前面の山と谷の大自然は本当に圧巻なので、かわらけ投げをしなくてもぜひお立ち寄りいただきたい!

石段に次ぐ石段・参道

神護寺は山岳寺院ということもあり、まあまあ山深いところにあります。残念ながら山門(楼門)まで車で行くことはできず、参道を歩いていくことになります(ただ境内には車がちらほら。どうやって来たの?)。

これがまた石段に次ぐ石段の連続で(写真)、参道入口(高雄橋付近)から山門までは三百数十段はあるそうです…ですので、山登り用のトレッキングスタイルの参拝者も少なくありません。
※しかも金堂の手前にも結構な石段があります…

奈良の室生寺(宇陀市)も結構石段が多くあって大変でしたが、運動不足気味の私にとっては神護寺はさらに大変に感じました。ただ、この石段の参道には歴史を感じますし、整然と並べられているところに情緒があるなと感じました。ですので、この石段の参道にもぜひ注目してみてください!

あの『伝源頼朝像』が見られるぞ!

歴史の教科書には絶対出てくると言ってもいい『伝源頼朝像』。ちょっと澄ました表情が印象的です。実は神護寺所蔵のものだということをご存じですか?金堂ではその『伝源頼朝像』を見ることができますよ、と言っても金堂にあるのは複写したもので、現物は別のところで保管されています。

現物が見られるのは毎年5月1日~5日に行われる「虫払い行事」の時だけです。「虫払い行事」では『伝源頼朝像』以外の寺宝も見られるので興味のある方はこの日に合わせて拝観してみてください(拝観料の他に別途料金必要)。

ちなみに、『伝源頼朝像』はあくまで「伝」で、本当に源頼朝かどうかははっきりとしていないようです。もしかすると足利尊氏の弟・直義(ただよし)ではないかという説があるそうです。

スーパースター この地で夢の共演!

平安時代の仏教界のスーパースターといったら最澄と空海。実はお二方とも神護寺(正確には前身の高雄山寺)にゆかりがあります。

まずは最澄が高雄山寺に招かれ、こちらで講義を行っていたそうです。その後、空海はこちらで灌頂(かんじょう:密教伝授の儀式)を行い、空海にとって高雄山寺は最初の本格的な拠点となりました。しかもその灌頂を受けた僧の中には最澄もいたとか。

しかし、最澄はすでに比叡山を開いていて弟子がいたため経典を中心にして学びたかった反面、空海は時間をかけて師匠から直接学ぶべきだという考えだったので、結局は師弟関係が破綻してしまいます。でもまさかこの地で二大スーパースターが共演していたとは!
※ちなみに写真は、かつて空海が住んでいた納涼房の跡地に建てられている「大師堂」です。

ぐるっと神護寺Around Jingoji

神護寺の境内で見どころ以外で気になったものをご紹介します。

よつぐ
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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は40分くらいです

楼門

石段を上がっていくと見えてきます。元和9年(1623年)に建立されたものと言われています。持国天と増長天が安置されているようですが、私が行ったときはいらっしゃらなかったです。

明王堂

和気清麻呂霊廟に向かって左側にあります。平将門の乱平定を祈願するため、明王堂にあった空海作の不動明王像が関東へ行き、その不動明王を御本尊として成田山新勝寺が創建されたそうです。

五大堂

楼門からそのまままっすぐ進むと見えてくるお堂です。元和9年(1623年)に建立されたもので、元は神護寺の講堂でした。五大明王が祀られていますが、堂内を拝観することはできません。

毘沙門堂

五大堂のすぐ前(南側)にあります。元和9年(1623年)に再建されたもので、元はこちらが神護寺の金堂でした。毘沙門像が祀られていますが、堂内を拝観することはできません。

多宝塔

金堂の裏側にあります。金堂と同じく、山口玄洞の寄進により再建されました。内部は国宝『五大虚空蔵菩薩像』が安置されています。春と秋のみ公開されます。

閼伽井

金堂の西側にある井戸です。こちらの閼伽井は空海自ら掘ったと言われています。こちらの水を灌頂の儀式の際に使う水として利用していたそうです。

地蔵院

「かわらけ投げ名所」の近くにあるお堂です。子授けや安産のご利益があるとされるお地蔵さん「世継地蔵」が祀られているところですが、中を見ることはできません。

神護寺の紅葉

神護寺は紅葉の名所として知られており、毎年シーズンになると多くの観光客で賑わいます。高雄地域の紅葉は「高雄紅葉」と言われ、学名にもなっているそうです。

硯石

神護寺への参道にあります。空海が嵯峨天皇から「金剛定寺」の門額を書くように依頼されましたが、川が増水していたため、この石を硯石として対岸に筆を投げると「金剛定寺」の文字が表れたという伝説があるそうです。

高雄橋と清滝川

神護寺参道入口の手前にあります。川のせせらぎの音がいい感じです。こちらでも紅葉が見られるということで、毎年観光客で賑わいます。ここまで来たらぜひ神護寺へも!

御朱印

神護寺の御朱印は金堂でいただけます。御朱印帖に書いてくれるものと、書き置きのものがあります。私は金色の紙に書かれた「薬師如来」にしました。

アクセスと拝観情報Access & Information

神護寺へは最寄りのバス停から徒歩で行けます。

最寄りのバス停から行く場合

神護寺の最寄りのバス停は「高雄」です。
※停車するバスの系統は市バス「8」系統とJRバスです

バス停の近くに下りの階段があるので、そちらを進んでいきます。そうすると徒歩5分ほどで高雄橋につき、参道の入口があります。

さらにそこから徒歩15分ほどで楼門が見えます。

バス停から楼門まで徒歩約20分です。

主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。

  • 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
    ⇒JRバス:乗車時間約49分
  • 「西ノ京円町 (JR「円町」駅)」から
    ⇒JRバス:乗車時間約27分
  • 「西大路四条 (阪急 / 京福「西院」駅 )」から
    ⇒市バス8系統:乗車時間約37分
  • 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
    ⇒JRバス:乗車時間約37分
    ⇒市バス8系統:乗車時間約44分
  • 「四条烏丸 (地下鉄烏丸線「四条」駅)」から
    ⇒市バス8系統:乗車時間約50分
よつぐ
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乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。

拝観時間9:00~16:00
拝観料大人(中学生以上):1000円
小学生:500円

※団体割引(30名以上)あり
※身障者割引あり
特別拝観
(期間限定)
【多宝塔特別拝観(春と秋)】
一律500円

【大師堂特別拝観(11/1~11/7)】
一律500円

【宝物虫払い行事(5/1~5/5)】
一律1000円

※別途拝観料必要
所在地京都市右京区梅ヶ畑高雄町5番地
TEL075-861-1769
ホームページhttp://www.jingoji.or.jp/index.html
その他近隣に有料の観光駐車場有

ちょっとそこまでNeighborhood

神護寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

よつぐ
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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

西明寺

神護寺の北西にあるお寺で、神護寺からだと徒歩22分くらいで行けます。西明寺の境内からでも神護寺へ行けるようになっていますので、合わせて拝観されることをお勧めします。空海の弟子・智泉によって創建され、こちらでも神護寺と同様、紅葉の名所として知られています。

高山寺

神護寺の北西にあるお寺で(徒歩30分くらい)、高山寺・西明寺・神護寺は十分徒歩で行けるくらいの距離なので、一緒に拝観されることをお勧めします。神護寺の復興に携わった明恵上人が中興した寺で、こちらも紅葉の名所となっています。国宝「石水院」や『鳥獣人物戯画』は必見です。
「高山寺」についてはこちらをご覧ください

神護寺周辺地図