京都古寺【銀閣寺】
銀閣寺の歴史
About History
銀閣寺は正式名称を「東山(とうざん) 慈照禪寺(じしょうぜんじ)」といい、相国寺の塔頭(子院)の1つです。

銀閣寺はどんな歴史を経たのか、簡単に見ていきましょう!

文明14年(1482年)、室町幕府八代将軍・足利義政が浄土寺の跡地に山荘「東山殿」を築いたのが始まり。義政は子・義尚(よしひさ)に家督を譲った後は東山殿を住まいとしていました。
義政の死後、遺言により東山殿は禅院に改められ、夢窓疎石(むそうそせき)を名目上の開山(初代住職)とし「慈照院」へ、翌年に「慈照寺」となりました。
※慈照院 /慈照寺の寺名は義政の法号「慈照院」に由来
戦国時代には一部の建物を残し焼失してしまいますが、江戸時代初期に大改修がなされました。また、明治期の廃仏毀釈の流れにより衰退してしまいますが、その後次第に復興がなされました。
平成6年(1994年)には世界文化遺産に登録され、現在に至っています。
銀閣寺の見どころ
Highlights
銀閣寺にはいくつか見どころがありますが、ここでは次の3つ+1を厳選してご紹介いたします。

では、それぞれ詳しく見ていきますね!
太郎も絶賛!
「銀沙灘&向月台」
銀閣寺の拝観受付を済ませ、小庭を横目に進んでいくと見えるのが「銀沙灘(ぎんしゃだん)」!

白砂にスラ~っと線が描かれているのが印象的です。

銀沙灘は光の反射率が高いため、間接照明のような役割になっているそうです。
花頭窓からチラ見えする銀沙灘も乙な感じです笑

おまけに近くにある「向月台(こうげつだい)」も目を引きますね。

向月台はこの上に座って月が出てくるのを待つために造られたとも言われています。

向月台はいつもプリンに見えてしまう笑
銀沙灘と向月台は銀閣寺の中では比較的歴史が浅く、江戸時代から見られるようになり、江戸時代後期に現在のような形になったと言われています。
ちなみに、かの有名な岡本太郎先生は銀沙灘と向月台を「モダンアートにしかみられない。不思議に美しい形態です。」と絶賛されています。
江戸時代にすでに岡本太郎先生を絶賛させるほどの現代的アートセンスを持っている人がいたなんて!

銀沙灘と向月台は単なる風景ではなく、アートとして見てください!
世界のヨシマサ監修!
「慈照寺庭園」
銀閣寺の境内は「慈照寺庭園」といって、「錦鏡池(きんきょうち)」という池の周りをぐるっと回れる池泉回遊式庭園になっています。


ゆっくり自然を楽しみながらお庭を回れますよ。

ただ、拝観客はいつでも割と多めですけどね…
特に秋の後半は、紅葉の赤と常緑樹の緑がいいコントラストになって人気があります。

ちなみに慈照寺庭園は、「苔寺」として有名な西芳寺(嵐山)の庭園を模して作ったと言われています。
しかも、作庭にあたって陣頭指揮をとったのが足利義政本人とのこと。
「なんだ、慈照寺庭園って素人の道楽だったのね…」と思ったそこのあなた!
意外や意外、実は足利義政は慈照寺庭園の他にもいくつか作庭に携わっているので、れっきとしたガーデンアーティストと言っても過言ではありません。

「アーティスト(元将軍)」…一度は名乗ってみたい肩書きです笑
銀閣寺は世界遺産にもなっていることを考えると、「足利義政」ではなく「世界のヨシマサ・アシカガ」と呼んだ方が適切です笑
銀色じゃないのに?
「銀閣」
銀閣寺に来たらやはりその通称の由来となった「銀閣(観音殿)」も必見です!


創建時のもので現存しているのは「銀閣」と「東求堂」だけなので大変貴重です
こちらの銀閣は、足利義政の祖父・足利義満が建立した金閣や、西芳寺の瑠璃殿を意識して造ったと言われています。
ちなみに金閣は3階建て、銀閣は2階建てになっています。


展望所からだと銀閣と京都市街が一緒に見られますよ!

ところで、銀色じゃないのになぜ「銀閣」なの?という疑問を持たれる方も多いはず。
色々諸説ありまして、
- 銀箔を貼る予定だったが応仁の乱などの後始末でお金がなかった説
- 銀箔を貼ろうと思ったがその前に義政が亡くなってしまった説
- 日光や月光が銀沙灘に反射してこの建物が銀色に見えた説
などなど。
「銀箔は貼っていたけど剥がれ落ちた」説もあったようですが、調べてみると銀の跡は全くなかったそうなので、こちらの説は否定されています。
※ただ、調べたところがたまたま銀がなかっただけという見方もあるそうですが
個人的には足利義政は最初から「銀閣」というものを建てようという意図はなかったのでは?と思っています。
※そもそも「銀閣」と呼ばれたのは後世になってから
足利義政は、マルチな分野で活躍する文化人・能阿弥(のうあみ)や、侘び茶の祖と言われる村田珠光(むらたじゅこう)に茶を学んでいて、よく茶会を催していたそうです。
そういったことから、「わびさび」の精神を持っていて、最初からギラギラした銀の建物を建てるつもりはなかったのかなとなんとなく感じました。
「大文字の送り火」
きっかけの地?
京都の夏の風物詩といえば「五山送り火」。
中でも銀閣寺に近い如意ケ嶽(にょいがたけ)の「大文字の送り火」の起源は足利義政だったという説があります。

足利義政の子・義尚(よしひさ)は戦の最中に24歳という若さで病死してしまい、その義尚の菩提を弔うために義政が大文字の送り火を始めたと言われています。
義尚は将軍職を譲られたものの、依然として実権を持ち続ける父・義政と確執があり、親子関係は良くありませんでした。

義政が実権を手放さなかったのは、実権を手放すと自分にお金が入ってこず、銀閣寺建立の費用が工面できなくなるためだとも考えられています…
ただ、いくら親子関係が良くないといっても、義政にとってはかわいい息子(応仁の乱勃発のきっかけの一つにもなったぐらい…)。
文化に傾倒する義政にとっては、前線に立って各地を転戦している義尚の姿はおそらく誇らしく思っていたのではないかと思います。

義政は一度だけこの大文字の送り火を見、翌年に亡くなってしまったそうです
こういうことを知って拝観すると、銀閣寺の侘しさ(義政の哀愁?)をより強く感じられるかもしれませんよ!
ぐるっと銀閣寺
Around Ginkakuji
銀閣寺の境内で、その他気になったものをいくつか取り上げておきます。

境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は35分くらいです
方丈(本堂)

寛永元年(1624年)に再建されたものです。内部には与謝蕪村や池大雅が描いた襖絵があります。通常は入れませんが、期間限定の特別拝観で入ることができます。
東求堂

銀閣(観音殿)とともに創建当時のまま残る貴重な建物です。元は義政の持仏堂で、阿弥陀如来を祀る阿弥陀堂でした。こちらも期間限定の特別拝観で入ることができます。
漱蘚亭(そうせんてい)跡

義政が使用した茶席「漱蘚亭」があった場所で、かつてこちらにあった庭園の石組が崩れた状態で今でも残っています。
お茶の井

漱蘚亭跡のすぐ隣にあります。義政が茶を点てる際に利用したとされる井の跡です。現在でもお茶会等の飲料水として使われているそうです。
洗月泉

山の水がこちらの洗月泉に落ち、それが錦鏡池へと流れ込んでいます。こちらは義政の設計によるものだとされています。
銀閣寺垣

石垣の上に建仁寺垣を置いて目隠ししたスタイルを銀閣寺垣というそうです。総門から中門までの参道で見ることができます。
御朱印

銀閣寺の御朱印は中門をくぐった先にあります。事前に御朱印帖を渡しておく必要があります。銀閣の正式な名称「観音殿」と書いていただけます。
アクセスと拝観情報
Access & Information
銀閣寺へは最寄りのバス停(「銀閣寺道」か「銀閣寺前」)から徒歩で行くのがおすすめです。
「銀閣寺道」から徒歩で行く場合
「銀閣寺道」に停車する市バスの系統は「5」「7」「32」「203」「204」「102(土日祝のみ)」「105(土日祝のみ)」「EX100(土日祝のみ)」です。
バス停の近くに「白川通今出川」の交差点があるので、そこを東へ進みます。
そのまままっすぐ進んでいくと銀閣寺の総門まで来ます。
バス停から銀閣寺総門まで徒歩約10分です。
主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。
- 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
⇒5 / 7 / 105系統:乗車時間約37分~43分
⇒EX100系統:乗車時間約27分 - 「烏丸今出川 (地下鉄烏丸線「今出川」駅)」から
⇒102 /203系統:乗車時間約15分 - 「三条京阪前 (京阪「三条」駅)」から
⇒5 /105系統:乗車時間約18分 - 「北大路バスターミナル (地下鉄烏丸線「北大路」駅)」から
⇒102 / 204系統:乗車時間約23分 - 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
⇒32 / 203系統:乗車時間約26分 - 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
⇒32 /203系統:乗車時間約37分

乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。
「銀閣寺前」から徒歩で行く場合
「銀閣寺前」に停車する市バスの系統は「32」「105(土日祝のみ)」「EX100(土日祝のみ)」です。
バス停から東へ向かって一直線で銀閣寺の総門まで来ます。
バス停から銀閣寺総門まで徒歩約6分です。
主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。
- 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
⇒105系統:乗車時間約43分
⇒EX100系統(土日祝のみ):乗車時間約24分 - 「三条京阪前 (京阪「三条」駅)」から
⇒5 /105系統:乗車時間約19分 - 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
⇒32系統:乗車時間約22分 - 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
⇒32系統:乗車時間約34分

乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。
拝観時間 | 8:30~17:00(3/1~11/30) 9:00~16:30(12/1~2月末日) |
拝観料 | 大人(高校生以上):500円 中学生・小学生:300円 |
所在地 | 京都市左京区銀閣寺町2 |
TEL | 075-771-5725 |
ホームページ | https://www.shokoku-ji.jp/ginkakuji/ |
その他 | 近隣に有料駐車場有 |
ちょっとそこまで
Neighborhood
銀閣寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

お時間があればぜひ一緒に行ってみてください
浄土院

銀閣寺のすぐ隣にあります。銀閣寺(東山殿)が建立される前にこちらにあった浄土寺を復興するため建立されたと言われています。大文字の送り火を管理しているため「大文字寺」とも呼ばれています。
法然院

銀閣寺から南へ徒歩7分ほどのところにあります。法然上人が弟子達と修行をされた草庵が起源です。自然豊かなところで、特に紅葉の時期が人気です。通常無料でいつでも拝観可能ですが、春と秋に特別拝観があります。
哲学の道

銀閣寺から若王子神社へと続く歩道で、哲学者の西田幾太郎がいつもこの道を歩いて思想に耽っていたことから「哲学の道」と名付けられました。桜や紅葉の名所としても知られています。
真正極楽寺(真如堂)

銀閣寺の南西にあり、徒歩20分ほどで行けます。御本尊の『木造阿弥陀如来立像』は「うなずきの弥陀」と呼ばれ、女性を救う阿弥陀様と言われています。また、桜や紅葉の名所として知られています。
銀閣寺周辺地図

以上、銀閣寺についてでした!
こちらのページが拝観のご参考になりましたら幸いです^^
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臨済宗天龍寺派の寺院で、足利家の菩提寺です(創建は足利尊氏)。室町幕府の歴代十三将軍の木像があり、静寂に包まれる庭園が魅力です。