ぜひとも見てほしい!
京都古寺の仏像7選+1
京都のお寺といえばどうしても庭園や紅葉ばかりに目が行きがちで、奈良に比べると仏像はあまりフィーチャーされませんが、京都にも素晴らしい仏像が見られますよ!
ここでは、仏像にあまり詳しくない私でも「この仏像、なんかええやん!」と感じた京都の仏像を7つ(+1)ご紹介します。
個人的なフィーリングに任せた偏った内容になっていますが、ご参考になれば幸いです。

基本的に仏像は撮影禁止で、書籍やパンフレットにも著作権があるため仏像の写真が載せられません。
ぜひ現地で実物をご覧ください!
気になった仏像をいつでも見ていただけるように、特別拝観時しか見られない仏像はあえて取り上げていません
広隆寺(京都市右京区)・『弥勒菩薩半跏像』

「京都の仏像」と言えば、真っ先に広隆寺の『弥勒菩薩半跏像』を挙げないといけないでしょう。
広隆寺『弥勒菩薩半跏像』の基本データはこんな感じです。
- 分類:国宝
- 技法:木造
- 年代:7世紀前半
- 像高:123cm
- 場所:新霊宝殿
- 初めて見た時の感想:う、う、美しい…
広隆寺の『弥勒菩薩半跏像』はなんと国宝第一号に指定された仏像で、新霊宝殿の中央にまばゆく鎮座されています。


頭に冠を乗せているようなので、「宝冠弥勒(ほうかんみろく)」とも呼ばれています
教科書でチラっと見ていたので、だいたいのお顔のイメージがあったものの、そのイメージをはるかに上回る美しさがありました笑
わずかに微笑んだ様(アルカイックスマイル)に思わずキュンっとなってしまい、手を合わせただただ見つめるだけとなりました…

『弥勒菩薩半跏像』の前面には畳敷きのベンチが置かれていますので、そちらでゆっくり拝観できますよ!
ちなみに、昭和35年(1960年)にある大学生が『弥勒菩薩半跏像』に触れて指を破損させるという事件があったようで、そのためか、新霊宝殿では2人体制で左右からじっくり監視されます。
やや緊張感のある中での拝観となりますが、一見の価値は十分にある仏像です。

新霊宝殿では他にも50体ほどの仏像が見られますので、仏像好きさんは広隆寺が絶対おすすめ!
広隆寺の歴史や見どころ、アクセスについて知りたい方は下記の記事もぜひ参考にしてみてください!
平等院(宇治市)・『阿弥陀如来坐像』

「仏師」といったら運慶や快慶を挙げる人が多いと思いますが、彼ら以前の仏師の代表格と言えば、定朝(じょうちょう)という方。
そして、その定朝が造ったのが平等院の『阿弥陀如来坐像』です。
平等院『阿弥陀如来坐像』の基本データはこんな感じです。
- 分類:国宝
- 技法:木造
- 年代:天喜元年(1053年)
- 像高:277.2cm
- 場所:鳳凰堂
- 初めて見た時の感想:これまた見事なな~
元々、仏像はいわゆる「唐風(中国風)」になっていて、平安時代から次第に日本人好みにアレンジされてきました。
そして、定朝によって仏像の和風化が確立したと言えます。

定朝が確立したスタイルは「定朝様(じょうちょうよう)」と呼ばれています

ちなみに、「定朝様」の大まかな特徴は次のようなものです。
- 丸みがあり、張りのあるお顔
- 柔和な表情
- 胸板が薄め
- ややなで肩
- 仏様の衣が薄め
以降、定朝様の仏像がトレンドとなっていきますが、定朝様の作品は数多くあれど、確実に定朝作と呼ばれるものは実は平等院の『阿弥陀如来坐像』しかありません。
それくらい貴重な仏像なので、ぜひじっくり見ていただきたいです!

阿弥陀如来様の周りに浮遊する『雲中供養菩薩像』にも注目です!
平等院の歴史や見どころ、アクセスについて知りたい方は下記の記事もぜひ参考にしてみてください!
三十三間堂(京都市東山区)・『千手観音菩薩立像』

折角なら一度にまとめてたくさんの仏像が見たい!という方におすすめなのが、三十三間堂の『千手観音菩薩立像』。
三十三間堂『千手観音菩薩立像』の基本データはこんな感じです。
- 分類:国宝
- 技法:木造
- 年代:平安時代後期~鎌倉時代
- 像高:さまざま
- 場所:蓮華王院本堂
- 初めて見た時の感想:何これ、すっごいなぁ~
ご存じの方も多いかもしれませんが、三十三間堂の『千手観音菩薩立像』は全部で1000体いらっしゃいます。
1000体もの仏像がずらっと並ぶ姿は壮観で、その独特の雰囲気に思わず引き込まれてしまうでしょう。

しかも1000体すべて国宝だというから驚き!
1000体それぞれじっくり見ると微妙にお顔が違いますので、ぜひ隣近所、見比べてみてください。
一体一体細かく見たいという方は、千手観音立像の裏側にあるパソコンで見ることができますよ!
そして1000体ずらっと並んでいるところの中央には、親玉といえる『千手観音坐像』がいらっしゃいます。

三十三間堂に来れば、一生分の仏像を見られると言っても過言ではありません笑

個人的には、千手観音の前に並んでいる二十八部衆や風神・雷神もおすすめです!
東寺(京都市南区)・『立体曼荼羅』

三十三間堂ほどではないにしても、こちらもたくさんの仏像で構成されているのが東寺(教王護国寺)の『立体曼荼羅(りったいまんだら)』。
東寺『立体曼荼羅』の基本データはこんな感じです。
- 分類:全21体のうち、国宝16体、重要文化財5体
- 技法:木造
- 年代:平安時代~江戸時代
- 像高:さまざま
- 場所:講堂
- 初めて見た時の感想:おぉ~これが立体曼荼羅かぁ~…
密教の世界をわかりやすく示したという「曼荼羅」をご存じの方は多いと思いますが、大抵が絵画になっています。
しかし、東寺では仏像で表しているのが特徴的です。
密教で最も重要な仏様である大日如来を中心にして、〇〇如来となっているものが中央部分に5体、その右側には〇〇菩薩となっているのが5体、一方左側には○○明王となっているのが5体いらっしゃいます。
これは、如来様がある時には菩薩に、またある時には明王に姿を変えるという密教の「三輪身説(さんりんしんせつ)」という考え方に基づいているそうです。
これら15体の周りには、梵天と帝釈天、四天王(持国天・増長天・広目天・多聞天)が配置され、全部で21体ということになります。

仏像の配置は空海自ら指導し、空海が理想とする世界を表現したものと言われています
堂内ではぜひゆっくり移動しながら見てみてください。
それぞれが独自のポージングを決めていて、ゆっくり移動することで微妙に見え方が変わります。
立体曼荼羅は昭和40年(1965年)までは秘仏だったそうで、折角の機会なので見ておきたいところです!
東寺の歴史や見どころ、アクセスについて知りたい方は下記の記事もぜひ参考にしてみてください!
六波羅蜜寺(京都市東山区)・『空也上人立像』

ここらでもっと馴染みのある仏像をご紹介したいと思います。そうなると、六波羅蜜寺の『空也上人立像』でしょう。
六波羅蜜寺『空也上人立像』の基本データはこんな感じです。
- 分類:重要文化財
- 技法:木造
- 年代:鎌倉時代前期
- 像高:117cm
- 場所:令和館
- 初めて見た時の感想:う~わっ、めっちゃリアルやん!
六波羅蜜寺の『空也上人立像』は教科書ではお馴染みの仏像なので、ご存じの方も多いはずです。

実際に見てみると、頭の血管や鎖骨の浮き具合、ふくらはぎの盛り上がりの感じなど、これまたかなりリアルに表現された像になっています!
そのリアルさに思わず見とれてしまいました…
教科書で見ていた感じでは結構大きな像だと勝手に思っていましたが、実際には120cm程度です。
身長的には小学1~2年生くらいで、だけど顔はオッサンというそのアンバランスさに可愛らしさ(キモかわいい?)を感じました笑
『空也上人立像』はファンも多いみたいなので、ぜひご覧ください!

『空也上人立像』の隣には、こちらも教科書でお馴染みの『平清盛坐像』があります
六波羅蜜寺の歴史や見どころ、アクセスについて知りたい方は下記の記事もぜひ参考にしてみてください!
神護寺(京都市右京区)・『薬師如来立像』

6つ目では少し変わった仏像をご紹介しましょう。そこでご紹介したのが神護寺の『薬師如来立像』です。
神護寺『薬師如来立像』の基本データはこんな感じです。
- 分類:国宝
- 技法:木造
- 年代:平安時代(8~9世紀)
- 像高:170.6cm
- 場所:本堂
- 初めて見た時の感想:えっ、なんか怒ってはります?
仏像と言うと柔和でお優しいお顔のイメージですが、こちらの『薬師如来立像』はやや口が「への字」になっていて、少しご立腹な様子です笑
こういった険しいお顔をされている仏像は、怨霊を払いのける効果をもたせるためなんて言われています。
ややご立腹な薬師如来様を前に縮こまるばかりですが、でもなんかこの厳しいお顔の中にも優しさみたいなものも感じられる不思議な仏像でした。
神護寺へは山門までかなり石段を登っていかないといけないので大変ですが、トレッキングがてらぜひお参りされることをおすすめいたします。
神護寺の歴史や見どころ、アクセスについて知りたい方は下記の記事もぜひ参考にしてみてください!
禅林寺(京都市左京区)・『阿弥陀如来立像』

少し変わった仏像つながりで、「永観堂」の名で知られる禅林寺の『阿弥陀如来立像』もおすすめです。
禅林寺の『阿弥陀如来立像』の基本データはこんな感じです。
- 分類:重要文化財
- 技法:木造
- 年代:平安時代後期~鎌倉時代前期
- 像高:77cm
- 場所:阿弥陀堂
- 初めて見た時の感想:え~っ、こんな仏像があるんやぁ!
普通、仏像といったら大抵真正面を向いていますよね。
しかし、禅林寺の『阿弥陀如来立像』は真正面を向いておらず、向かって右側にお顔を傾けています!
そのお姿から「みかえり阿弥陀」とも呼ばれています。

元々は真正面を向いていたのに、途中から顔を傾けたという伝説も…
ただ、堂内では右側に回って御尊顔を拝むこともできますのでご安心ください。
「どうして真正面を向いていないのだろう?」と友達やご家族で話し合ってみると、大喜利のように色んな答えがでてきそうで楽しいかもしれませんね!
萬福寺(宇治市)・『異国情緒たっぷりな仏像たち』

最後に番外編として、萬福寺の仏像もご紹介させてください。
萬福寺の仏像は超個性的!とても異国情緒のある仏像たちです。


個人的に、胸からブッダが出ている「羅睺羅(らごら)尊者」が一番目を引きました笑


ちなみに、萬福寺では仏像の写真撮影が可能です
ご覧の通り、一般に私たちが想像する「仏像」とはやや違っていますね。
萬福寺は境内も異国情緒(中華な感じ)がありますので、ぜひ訪れてみてください!
萬福寺の歴史や見どころ、アクセスについて知りたい方は下記の記事もぜひ参考にしてみてください!
最後に
以上、個人的にぜひ見ていただきたいと思う京都の仏像でした。
おさらいすると次の7つ(+1)です。
- 広隆寺『弥勒菩薩半跏像』
- 平等院『阿弥陀如来坐像』
- 三十三間堂『千手観音菩薩立像』
- 東寺『立体曼荼羅』
- 六波羅蜜寺『空也上人立像』
- 神護寺『薬師如来立像』
- 禅林寺『阿弥陀如来立像』
- 番外編:萬福寺の仏像
こちらに掲載できなかった仏像もあるので、ぜひ色々お寺を回ってみてください!
こちらの記事が仏像好きになるきっかけ、京都のお寺好きになるきっかけになりましたら幸いです。

奈良の仏像編もあります!
下記の記事もぜひご覧いただけたらと思います