京都古寺【醍醐寺】
醍醐寺についてAbout Daigoji
醍醐寺は山上の「上(かみ)醍醐」と山麓の「下(しも)醍醐」で構成される、広大な境内地を持つお寺です。
まずは醍醐寺の歴史について簡単に見ていきますね
真言宗醍醐派総本山。山号は「醍醐山」。世界遺産。
平安時代初期の僧・聖宝(しょうぼう)が現在の上醍醐の地で、自ら刻んだ准胝(じゅんてい)観音像と如意輪(にょいりん)観音像を開眼供養したのが始まり。その後、醍醐天皇の勅願寺となり、現在の下醍醐まで次第に伽藍が整備されていきました。
室町時代の応仁・文明の乱(1467~1477年)により下醍醐は五重塔以外が焼失してしまいましたが、安土桃山時代には第80代座主・義演准后(ぎえんじゅんごう)の帰依を受けた豊臣秀吉が堂塔を再興。子・秀頼も引き続き伽藍整備に努めました。
しかし、明治期の神仏分離令からくる廃仏毀釈の流れにより衰退の一途をたどりました。平成6年(1994年)には「世界文化遺産」に登録され、現在に至っています。
醍醐寺の見どころ5選Highlights
醍醐寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。
ぜひここに注目しながら拝観してみてください
ドッシリ古塔・五重塔
醍醐寺といったらやはり日本三大名塔の1つにもなっている「五重塔」!天暦5年(951年)に建立され、京都府下最古の木造建築になります。日本全国で見ても、現存する五重塔では法隆寺、室生寺に次ぐ3番目になっています。
塔を見るときはぜひ下層と上層の差に注目してみてください。飛鳥時代や奈良時代の塔は下層と上層の差が大きい、いわゆる「逓減(ていげん)が大きく」なる傾向があります。醍醐寺の五重塔は平安時代のものながら逓減が割と大きめです。そのためか、かなりどっしりした重厚感のある見た目で、力強さみたいなものを感じます。
一方、東寺や仁和寺の五重塔はあまり下層と上層の差が大きくありません(逓減が小さい)。そのためか、スラっと繊細な印象になります。ぜひ京都府内の色んな塔と比較してみてください!
境内一の映えスポット!「弁天堂」
五重塔も素晴らしいですが、境内で一番写真映えするところといったらやはり弁天堂。弁天堂は下醍醐の一番奥(東端)にあります。
醍醐寺の画像といったらだいたいこの弁天堂と、周りの弁天池が一緒に写っている風景がよく使われているように思います。水面にも弁天堂やその手前の橋がきれいに反射されて映るので、ぜひ水面も一緒に撮ってみてください。
特に人気なのが秋の紅葉シーズン。スマホやカメラを持った方々で賑わいます。紅葉の赤と、弁天堂の朱色がまた合っていいんですよ!(青もみじの緑と弁天堂の朱色のコントラストもそれはそれでGood!)
ちなみに、醍醐寺では毎年秋に夜間特別拝観があり、弁天堂の周りもきれいにライトアップされます。
優雅なたたずまい・三宝院庭園
醍醐寺では境内の北西にある「三宝院」というところで、他の京都のお寺と同様に庭園を楽しむことができますよ!
三宝院の庭園(写真)は、実は慶長3年(1598年)に豊臣秀吉自らが基本設計したと言われていて、現在は国の特別史跡および特別名勝に指定されています。ちなみに、写真を撮っている場所は「純浄観(じゅんじょうかん)」という建物で、秀吉らが槍山で「醍醐の花見」をした際に建てた建物をこちらに移築したものそうです。
※ただ、お部屋からの鑑賞式庭園になっていますので、建物から降りて見ることはできません
三宝院ではその他、畳敷きのお部屋がいくつかあり、一部お部屋の中に入れるところもあるので、しばらく座って休むこともできるようになっています。
師匠もびっくり?・仏像棟『不動明王像』
醍醐寺ではなんと約10万点以上の寺宝を有しており、それらは霊宝館というところで保存されています。霊宝館内の本館と平成館は特別展時でしか入れませんが、仏像棟というところはいつでも入れます。しかも無料なので行かなきゃ損です。
仏像棟には四方に13体の仏像と、中央に五重塔の模型が置かれています。中でも注目していただきたいのが、五大明王像のうちの『不動明王像』。一体どうされたんですか?というくらいにひん剥いた目をされています(西川きよし師匠もびっくり?)。私自身、仏像で二度見をしたのは初めての体験でした笑
そのインパクトがすごすぎて他の仏像がどんなだったか正直忘れてしまうくらいです…今度行った時は他の仏像にももっと注目してみようと思います。
深山幽谷の世界へ・上醍醐
醍醐寺には醍醐山山上の、いわゆる「上醍醐」にもお堂があります。上醍醐は「醍醐寺オリジン(元祖・醍醐寺)」の地なので、きついのを覚悟して登ることにしました。
登山道は陽の光がほとんど入ってこず、まさに深山幽谷の世界。登山なんか普段全くしない私…はぁはぁゼーゼー、あまりにひどい醜態をさらしていたためか、山から降りてきた見知らぬおじさんに「十六丁まで行けば下りになるよ」と教えてくれ、とりあえずの目標がわかって少し楽に。1時間ちょっとかかってなんとか頂上(開山堂)まで行けました!
※無事に頂上まで行けたこととお礼を、この場を借りてあの時のおじさんにお伝えさせていただきます笑
山上も木々に覆われていて、期待していたほど山からの景色は見えませんでしたが、達成感はかなりあったのでよろしければぜひ上醍醐へ!
太閤殿下もご満悦!・醍醐寺の桜
醍醐寺の代名詞といったらやはり「桜」。春になると境内では河津桜やしだれ桜、ソメイヨシノ、八重桜など1000本近い桜が見られ、毎年多くの観光客で賑わいます。
醍醐寺は平安時代から「花の醍醐」といわれ、桜の名所として知られていたそうですが、醍醐寺と桜をより密接に結びつけたのが豊臣秀吉!
醍醐寺の桜に感銘し、さらに近畿一円から700本もの桜を取り寄せて境内に植樹。そして、慶長3年(1598年)に秀頼をはじめ、正室・北政所や側室・淀殿ら1300人を引き連れ、いわゆる「醍醐の花見」を行いました。かなり周到に計画し、秀吉自身醍醐寺に何度も下見に来たとか。
醍醐寺ではこの故事にならい、毎年4月の第2日曜日には「豊太閤(ほうたいこう)花見行列」が開催されています。
ぐるっと醍醐寺Around Daigoji
醍醐寺の境内(下醍醐)で気になったものをご紹介します。
下醍醐をゆっくり一回りした場合の所要時間は50分くらいです
三宝院唐門
三宝院拝観口の右側にある門です。黒地に金の菊と桐の紋がとても映えて見えます。建立時期等不明ですが、国宝に指定されています。普段は閉じられています。
三宝院表書院
三宝院内のほぼ中央にある建物で、国宝に指定されています。室内に入ることができ、長谷川等伯一派らの襖絵が見られます。こちらのみ室内の写真撮影が可能になっています。
三宝院本堂
三宝院の一番奥(東端)にあるのがこちらの本堂で、ご本尊は快慶の最高傑作と伝わる『弥勒菩薩坐像』です。ただし、特別拝観時にしか行けませんので注意してください。
霊宝館本館
醍醐寺に伝わる寺宝が収められているところで、写真の本館とこの裏にある平成館は特別展時しか入れません。霊宝館の敷地内に大きなしだれ桜があります。
仁王門
五重塔や金堂などがある伽藍エリアへ入る門になっています。慶長10年(1605年)に豊臣秀頼により再建されました。仁王像は平安時代に造られたもので、ややお顔が大きめなのが特徴です。
清瀧宮拝殿/本殿
醍醐寺の守護女神・清瀧権現(せいりゅうごんげん)を祀っています。永長2年(1097年)に上醍醐にあった清瀧宮を分祀して創建され、現在の社殿は永正14年(1517年)に再建されたものです。
金堂
仁王門から進んで左側にあります。豊臣秀吉の発願により紀伊国の満願寺本堂を移築したものです。内部には薬師三尊像と四天王が安置されています。堂内には入れません。
不動堂
金堂の右側にあります。堂内には不動明王などが安置されています。不動堂前の広場(護摩道場)では護摩が焚かれ、世界平和などの祈願を行っているそうです。
真如三昧耶堂
不動堂の右側にあります。朱雀天皇の御願により天暦3年(949年)に創建されたものが起源で、現在のお堂は平成9年(1997年)に建立されました。堂内には金色の涅槃像が安置されています。
祖師堂
五重塔の斜め前にあります。慶長10年(1605年)に義演准后により建立されました。堂内には真言宗開祖・弘法大師空海と、醍醐寺の創建者・聖宝が祀られています。
観音堂
弁天堂の手前にあります。醍醐天皇一千年御忌を記念して、昭和5年(1930年)に山口玄洞の寄進により建立されました。堂内には「准胝観世音菩薩」などが安置されています。
御朱印
醍醐寺の御朱印は観音堂で、事前に希望の御朱印を用紙に記入したうえで書いていただけます。私は醍醐寺御本尊の「薬師如来」にしました。散華もいただけます。
ここからは上醍醐やその参道にあるものについてご紹介します
成身院(女人堂)
上醍醐への登山口にあります。上醍醐の道のりは女性では厳しく、女性がここで山上の諸仏を拝んだことから「女人堂」とも呼ばれています。この隣のお堂で入山の申し込みをします。
槍山
五丁にある平地で、こちらでかつて豊臣秀吉が「醍醐の花見」を行ったそうです。ここから山下の桜を見ていたそうですが、今では木々に視界が遮られてほとんど周りが見えません…
役行者石像
十六丁にある、修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)の石像です。ここから少し下りになるので、ここを頂上だと勘違いして帰ってしまう方がいるそうです…頂上はまだ先です!
清瀧宮拝殿/本殿
醍醐山のほぼ頂上にあります。下醍醐の清瀧宮と同じく、醍醐寺の守護女神・清瀧権現を祀っています。拝殿(写真)は室町時代に再建され、国宝に指定されています。こちらの裏側に本殿があります。
醍醐水
清瀧宮の先にある、醍醐寺発祥の地です。僧・聖宝がこの地で、湧水を飲んで「あぁ醍醐味なるかな」と言う横尾明神を見て、それにちなんで寺名も「醍醐寺」になったそうです。水は飲めますが、蛇口式です笑
准胝堂跡
醍醐水の両脇にある階段を上っていったところにあり、西国三十三所第11番札所になっています。准胝堂は聖宝が最初に建てた建物で、昭和に再建されたお堂は2008年(平成20年)に落雷により焼失してしまいました。
薬師堂
准胝堂跡から進んでいくとあります。延喜13年(913年)に醍醐天皇の御願堂として創建され、現存のお堂は保安2年(1121年)に再建されました。上醍醐では一番古く、国宝に指定されています。
経蔵跡
薬師堂の前の崖下のところにあります。こちらには東大寺の再建に貢献した重源上人が鎌倉時代に建立した経蔵がありましたが、昭和14年(1939年)に焼失し、現在は基壇のみが残されています。
五大堂
薬師堂を進んでいき、二股になったところを左に行くとあります。延喜13年(913年)に醍醐天皇の御願堂として創建され、現在の五大堂は昭和15年(1940年)に再建されました。堂内には不動明王像などが安置されています。
如意輪堂
五大堂とは反対方向に進んでいくとあります。聖宝が准胝堂と共に最初に建てた建物で、現在のお堂は慶長11年(1613年)に豊臣秀頼により再建されました。お堂に上がったり、近づくことはできません。
白山大権現
如意輪堂のすぐ隣にあります。寛平9年(897年)に聖宝が上醍醐を鎮守するために創建したと言われています。現在の社殿は豊臣秀頼により再建されたと言われています。縁結びのご利益があるそうです。
開山堂
如意輪堂をそのまま進んでいくとあります。聖宝を祀るお堂で、堂内には聖宝や弘法大師空海などの坐像が安置されています。現在のお堂は慶長11年(1606年)に豊臣秀頼によって再建されました。
上醍醐陵
開山堂の前にある階段を下りていくとあります。「かみだいごのみささぎ」と読みます。白河天皇の皇后・藤原賢子(けんし)をはじめ、4名がこちらに葬られています。
頂上からの眺め
如意輪堂前からの眺めです。山上でも木々がたくさんあるため、見えるところが限られています。この場所でも前面に木があるため、はっきり見えませんでした…
アクセスと拝観情報Access & Information
醍醐寺へは最寄駅から、あるいは最寄りのバス停から徒歩で行けます。
最寄り駅から行く場合
醍醐寺の最寄り駅は地下鉄東西線「醍醐」駅です。
2番出口から東の方向へ進んでいくと、醍醐寺の総門に到着します。
醍醐駅から総門まで徒歩約11分です。
また、上醍醐へ直接行く場合は、1番出口から東へ進み、醍醐寺境内の南側を通って成身院(女人堂)まで行きます。
醍醐駅から成身院(女人堂)まで徒歩約23分です。
醍醐駅から醍醐寺前までのバスもあります
最寄りのバス停から行く場合
醍醐寺の最寄りのバス停は「醍醐寺前」で、バスは京阪バスです。
バス停の近くに醍醐寺の総門があります。
バス停から総門まで徒歩約1分です。
主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。
- 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
⇒乗車時間約34分 - 「醍醐駅 (地下鉄東西線「醍醐」駅)」から
⇒乗車時間約13分 - JR / 京阪「六地蔵」駅から
⇒乗車時間約12~14分 - 「竹田駅東口 (近鉄 /地下鉄烏丸線「竹田」駅)」から
⇒乗車時間約31分 - 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
⇒乗車時間約46分 - 「三条京阪前 (京阪「三条」駅)」から
⇒乗車時間約55分
乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。
拝観時間 | 9:00~17:00(3月~12月第1日曜日) 9:00~16:30(12月第1日曜日の翌日~2月末日) |
拝観料 | 【伽藍・三宝院いずれかの場合】 大人:600円 高校生・中学生:400円 【伽藍・三宝院共通拝観券】 大人:1000円 高校生・中学生:700円 ※団体割引あり(20名以上) |
拝観料 (春期) | 3/20~5月G.W最終日まで 【伽藍・三宝院・霊宝館庭園共通拝観券】 大人:1500円 高校生・中学生:1000円 ※団体割引あり(20名以上) |
拝観料 (特別拝観) | 【三宝院御殿】 大人・中高生:500円 【霊宝館本館・平成館特別展示】 大人・中高生:500円以上 |
上醍醐について | 【入山受付時間】 9:00~15:00(3月~12月第1日曜日) 9:00~14:00(12月第1日曜日の翌日~2月末日) ※ただし、ふもとへは17:00までに到着すること 【入山料】 無料 【備考】 成身院(女人堂)の隣にあるお堂で「上醍醐入山名簿」に必要事項を記入して入山します。 下醍醐の伽藍エリアから上醍醐入口へ行けますが、上醍醐から下醍醐の伽藍エリアへは戻れなくなっているので注意してください。 |
所在地 | 京都市伏見区醍醐東大路町22 |
TEL | 075-571-0002 |
ホームページ | https://www.daigoji.or.jp/ |
その他 | 境内に有料駐車場有 |
ちょっとそこまでNeighborhood
醍醐寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。
お時間があればぜひ一緒に行ってみてください
長尾天満宮
醍醐寺に隣接する(境内の北側)神社です。天慶3年(940年)に醍醐天皇の勅願により、菅原道真の霊を慰めるために創建されたと伝わっています。長い階段があり、能舞台では音楽イベントも催されるようです。
後山科陵
醍醐寺の総門から北へ徒歩約14分のところにあります。読み方は「のちのやましなのみささぎ」。醍醐寺の発展に強く影響した醍醐天皇の御陵です。醍醐天皇の「醍醐」は醍醐寺からとられているそうです。
隨心院
醍醐寺のやや北西にあり、徒歩約14分のところにあります。世界三大美女のひとり、小野小町が余生を送った場所と伝わっています。表書院「能の間」にある襖絵、『極彩色梅匂小町絵図』が人気があります。
勧修寺
醍醐寺の北西にあり、徒歩約23分のところにあります。読み方は「かじゅうじ」。醍醐天皇が母・藤原胤子(いんし/たねこ)の菩提を弔うために創建されました。醍醐寺と同じく桜の名所と知られています。
醍醐寺周辺地図
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醍醐寺と同様、五重塔があり、桜が名所のお寺です。ちなみに仁和寺創建者である宇多天皇は、醍醐寺の発展に寄与した醍醐天皇の父です。
六波羅蜜寺の前身である西光寺の創建者・空也上人は、醍醐天皇の第二皇子といわれています。「令和館」では空也上人像や平清盛坐像などが見られます。