京都古寺【智積院】  

智積院についてAbout Chishakuin

智積院は成田山新勝寺や川崎大師平間寺をはじめとして、全国に約3千もの末寺を擁するお寺です。

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まずは智積院の歴史について簡単に見ていきますね

読み方は「ちしゃくいん」。真言宗智山派総本山。正式名称は「五百佛山(いおぶさん) 根来寺(ねごろじ) 智積院」。

紀伊国(現在の和歌山県)にあった根来寺の塔頭・智積院が起源。根来寺は豊臣秀吉と対立したため焼き討ちにあい、智積院を含め全山焼失してしまいます。

しかし、関ヶ原の戦い後に玄宥(げんゆう)僧正が徳川家康から東山の土地を寄進を受けされ、智積院を復興。また、豊臣家滅亡後、秀吉の子・鶴松の菩提寺であった祥雲禅寺を与えられ、寺領が拡大します。
※紀伊国にあった根来寺も紀州徳川家の支援を受け復興します

徳川家とは深い関係にありましたが、明治時代になると新政府に土地を没収され、また廃仏毀釈や金堂の焼失など多難を迎えます。その後、智山派の総本山と定められ、現在に至っています。

智積院の見どころHighlight

人呼んで
「利休好みの庭」

智積院でおすすめといえば、やはり講堂や大書院の前にある名勝庭園。

こちらの庭園は祥雲禅寺時代に原形が造られていたそうで、その後修復し、現在の形になっているとのことです。

「東山第一の庭」とまで言われるようになり、また「利休好みの庭」とも言われています。

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実際に利休の好みだったかはわかりませんが、「いかにも利休が好きそうな」という意味合いです

東山の地形を生かし、前面が少し小高い山になっているので、立体感のある池泉回遊式庭園になっているのが特徴です。

名勝庭園を前に、畳敷きの大書院でのんびりした時間を過ごせますよ!

ちなみに大書院の奥には宸殿という建物があります。

智積院宸殿

こちらには堂本印象画伯による襖絵などがあり、中でも和装の女性と洋装の女性を描いた『婦女喫茶図』は本当にお見事でした。

全体的にハイカラな色合いになっているので、描かれた当時はお寺にはふさわしくないのではと否定的な声もあったそうですが、個人的には新旧が絶妙にマッチしていると感じました。

ただ、残念ながら宸殿内部は期間限定の特別公開となっています。
※特別公開時はスタッフの方がそれぞれの絵について解説してくださいます

大パノラマ!
「国宝障壁画」

名勝庭園以外におすすめと言えるのが「宝物館」。

智積院宝物館

令和5年(2023年)にオープンしたまだまだ新しい建物で、智積院に伝わる宝物を管理する収蔵庫も兼ねています。

こちらでは長谷川等伯・久蔵親子をはじめとした長谷川一門によって描かれた障壁画がコの字型に並べられて展示されているのですが、これがまた大パノラマの圧巻な内容です!

薄暗い館内に、金地に描かれた障壁画が絶妙に浮かび上がって見えます。

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館内は写真撮影禁止なのでぜひ現地でごらんください!

館内には椅子が置かれているので、ゆっくりご覧いただけます

その他、約8万点におよぶ収蔵品の中から期間限定での特別公開が催されていますので、ぜひ行ってみてください!

静謐なる空間
「金堂」

どこのお寺でもそうですが、お寺の中心伽藍の1つである金堂(本堂)は行っておくべきですね。

智積院金堂

智積院の金堂は入口から真っすぐ進んでいくと突き当りにあります。

やはり本堂だけあって大きな建物です。

こちらの金堂は、弘法大師・空海の生誕1200年の記念事業として昭和50年(1975年)に再建されました。ですのでまだまだ新しい建物です。

以前の金堂は明治15年(1882年)に火災により焼失してしまったそうです。

特に法要等が行われていなければ中には自由に入ることができますよ!

こちらの御本尊は金ピカの大日如来様で、こちらも金堂の再建と同じくして造られたそうです。

通常時はそんなに人が出入りするようなところではありませんので、だだっ広い畳敷きの空間で、マンツーマンで大日如来様とじっくり向き合うことができます笑

ちなみに、金堂の裏は紫陽花(あじさい)園になっていて、季節になると紫陽花が見られます。

智積院あじさい
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智積院は境内に入るだけなら拝観料はいりませんので、金堂や紫陽花園を自由にご覧いただけます

ぐるっと智積院Around Chishakuin

智積院の境内には他にも注目してほしいスポットや展示物があります。
ここでは厳選してご紹介します。

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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は40分くらいです

明王殿

金堂の右側にあります。元は大雲院(現在は高台寺の近く)の本堂で、大雲院から譲渡を受けて移築されました。御本尊が不動明王なので、不動堂とも呼ばれます。

玄宥僧正尊像

金堂の手前にあります。智積院の再興に尽力された玄宥僧正の像です。玄宥僧正の命日である10月4日には毎年、金堂で「玄宥僧正忌」が執り行われるそうです。

鐘楼堂

金堂の手前にあります。平成10年(1998年)に旧宗立智山専門学校同窓生が作る智専会によって鐘とともに寄進されたものです。梵鐘は「智専の鐘」と呼ばれているそうです。

大師堂

金堂の西側にあります。寛政元年(1789年)に再建されたもので、真言宗の開祖・弘法大師空海の尊像を祀るお堂です。

講堂

名勝庭園の隣にあり、智積院の道場になっています。内部の襖絵が拝観可能になっていますが、時期によっては拝観不可の場合があります。

本坊(法務所)

講堂の西側にあります。智積院の寺務所になっています。ご祈祷の申し込み等はこちらで行いますが、一般拝観はされていません。

総門

智積院入口の西側にあります。幕府から与えられた東福門院にあったものが移築されたと伝わっています。ここからは入れません。

智積院の紅葉

智積院の境内では、秋になるとあちこちでカエデやイチョウの紅葉が見られます。境内は無料なのでぜひ紅葉散策してみてください。

御朱印

智積院の御朱印は入口を入ったすぐのところにある受付案内所で書いていただけます。金堂御本尊である「大日如来」と書いていただきました。

アクセスと拝観情報Access & Information

智積院へは最寄駅から、あるいは最寄りのバス停から徒歩で行けます。

最寄り駅から徒歩で行く場合

智積院の最寄り駅は、京阪本線「七条」駅です。

「七条大橋」の交差点を東へ進みます。

突き当りまで行くと智積院の総門まで到着しますが、そこからは入れませんので、右へ曲がって進みます。そうすると智積院の境内に入れます。

七条駅から智積院まで徒歩だと約12分で着きます。

最寄りのバス停から徒歩で行く場合

智積院の最寄りのバス停は「東山七条」です。

停車するバスの系統は市バス「86」「106」「202」「206」「207」「208」「58(土日祝のみ)」「88(土日祝のみ)」と、京都バスです。

バス停から南へ向かって進むと境内に入れます。
※乗るバスによっては三十三間堂の北側になってしまうことがあります。その場合は東へ突き当りまで進み、そのから南へ進みます。

主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。

  • 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
    ⇒市バス86/88/106/206/208系統・京都バス:乗車時間約11分
  • 「四条京阪前 (京阪「祇園四条」駅)」から
    ⇒58/106/207系統:乗車時間約13分
  • 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
    ⇒58/106/207系統:乗車時間約15分
  • 「九条近鉄前 (近鉄「東寺」駅)」から
    ⇒58/88/202/207/208系統:乗車時間約18分
  • 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
    ⇒206/207系統:乗車時間約27分
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乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。

拝観時間【境内】
9:00~16:30
※最終受付は16:00まで
拝観料
(通常)
【境内】
無料

【名勝庭園】
大人:500円
高校生・中学生:300円
小学生:200円

【宝物館】
大人:500円
高校生・中学生:300円
小学生:200円

※団体割引あり(20名以上)
※障害者手帳提示で無料
所在地京都府京都市東山区東瓦町964番地
TEL075-541-5361
ホームページhttps://chisan.or.jp/
その他参拝者用無料駐車場有

ちょっとそこまでNeighborhood

智積院の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

妙法院

智積院から北へ徒歩5分ほどのところにあります。青蓮院、三千院と共に「天台宗三門跡」の1つになっています。建物内部は通常拝観不可ですが、境内は自由に入ることができます。

三十三間堂

智積院から西へ徒歩4分ほどのところにあります。とてつもなく長いお堂が特徴で、堂内には1001体の千手観音立像があることでも有名です。
三十三間堂についてはこちらをご覧ください

法住寺

智積院から西へ徒歩5分ほどのところにあります。平安時代中期に藤原為光により創建されたお寺で、後にこのお寺を中心として後白河法皇の御所が建てられました。御本尊は、開運・厄除けのご利益があるとされる「身代わり不動」です。

養源院

法住寺のすぐ隣にあります。文禄3年(1594年)に淀殿が父・浅井長政追善のため創建したお寺です。伏見城落城時に、自刃した武将たちの血が付いた「血天井」があることでも有名です。ただし、拝観可能日は限定されています。

京都国立博物館

智積院から北西へ徒歩4分ほどのところ(三十三間堂の向い)にあります。1897年(明治30年)に帝国京都博物館として開館した歴史ある国立博物館で、レンガ造りの洋風な姿が印象的です。京都のお寺に関するものも多く寄託されています。

新日吉神宮

智積院から北東へ徒歩8分ほどのところにあります。永暦元年(1160年)に、後白河上皇の御所・法住寺殿の鎮守社として創建されました。五穀豊穣や醸造・医薬、家内安全のご利益があるとされています。

智積院周辺地図