京都古寺【南禅寺】
南禅寺についてAbout Nanzenji
南禅寺は室町時代には京都五山の別格(五山之上)として扱われ、禅寺界のトップに君臨していたお寺です。
まずは南禅寺の歴史について簡単に見ていきますね
臨済宗南禅寺派大本山。正式名称は「瑞龍山(ずいりゅうざん)太平興国南禅禅寺」。
弘安10年(1287年)、亀山天皇が離宮禅林寺殿に持仏堂(南禅院)を建立したのが始まり。正応4年(1291年)に東福寺の住持・無関普門(むかんふもん)を開山(初代住持)に向かえ、正式に禅寺に改められました。
開山から約15年経った嘉元3年(1305年)に伽藍の完成をみますが、明徳4年(1393年)と文安4年(1447年)の火災、さらに応仁の乱で伽藍が焼失するなど苦難を迎えます。
江戸時代に入ると、270世住持・以心崇伝(いしんすうでん)が徳川家康から厚い信任を受けたこともあって、大規模な復興が進められ隆盛を極めます。しかし、明治期の神仏分離令による廃仏毀釈の流れ、また寺領の没収や塔頭の縮小などで大打撃を受け、現在に至っています。
南禅寺の見どころ5選Highlights
南禅寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。
ぜひここに注目しながら拝観してみてください
あなたの気持ちが知りたくて…三門
南禅寺といったらやはり三門の大きさや荘厳さに圧倒されること間違いなし!日本三大門の一つに数えられているだけのことはあります。
※ちなみに、他の2つは東福寺と久遠寺(山梨県)
南禅寺の三門は、石川五右衛門が「絶景かな絶景かな・・・麗(うら)らか眺めじゃなあ」と大みえをきる歌舞伎のワンシーンの舞台にもなっていることでも有名で、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
私も五右衛門の気持ちが知りたくて三門の上に登ってみました(別途料金必要)。写真は三門上からの光景ですが、まさに絶景!ベタすぎるからアカンとは思いつつ「絶景かな絶景かな」と口ずさんでみました笑
しかしよくよく調べてみると、現在の三門は石川五右衛門の死後に建立されたとか。なんや、ここで「絶景かな」とか言ってなかったんか…
ゆっくりじっくりな方丈
南禅寺も他の禅寺と同じく方丈があり、そちらでお庭や襖絵などを楽しむことができます。南禅寺の紹介ムービーが観られるお部屋もあって、椅子に座ってしばらく休憩もできます。
他にはお茶室があり、別料金とはなりますがお抹茶をいただきながらお庭を楽しむことができるという贅沢(ただしお昼時以外)。
ゆっくり、そしてじっくり方丈を堪能できますよ!
個人的に方丈の中で一番良かったのが、「龍虎之間(写真)」。お部屋は貴賓室のような高級感ある佇まいで、奥が借景になっているのがいい感じです。借景から漏れ出る陽の光や青葉の色合いが黒い机に反射してとても幻想的です。思わず見とれてしまいました笑
※ただしお部屋の中には入れません
レトロ感満載・水路閣
南禅寺一番の映(ば)えスポットともいえるのがこちらの水路閣ですね!サスペンスドラマやアニメ(けいおん!)の舞台ともなっていて、国内の方だけでなく、海外の方にも人気の撮影スポットになっています。
この水路閣の建設にあたって、伝統あるお寺の境内にこういう西洋っぽいのはどうなんだ?ってお寺側も反対したそうですが、竣工から100年以上経ってみると、むしろこのレトロ感がお寺の雰囲気にいい感じに合っているように思いました笑
この水路閣を見るために拝観に来る方もおられると思いますので、「人間万事塞翁が馬」とはまさにこのこと。
映えスポットゆえ、なにやら「写真を撮ってあげるよ~」とか言って撮影後に金銭を要求する人がいるそうなので、お気を付けくださいませ!
南禅寺オリジン・南禅院
「南禅寺について」でもご紹介しましたが、南禅寺は亀山天皇の持仏堂建立から始まります。その持仏堂というのが法堂の南(向かって右側)にある「南禅院」です(写真)。
まさにここが南禅寺発祥の地で、いわば南禅寺オリジン(元祖南禅寺)となります。亀山天皇もこちらで出家されたといいます。
※ただし元の建物は火災で焼失し、現在の建物は徳川綱吉の母、桂昌院によって再建されたものです
ここから南禅寺の歴史がスタートしたのかと考えると感慨深いです。
また、こちらには亀山法皇作庭と伝わる回遊式庭園があり、京都の三名勝史跡庭園の一つに指定されているそうです。
※現在は屋根の葺き替え工事中のため拝観できません。
人知れずの霊地・最勝院奥の院
水路閣の近くに「最勝院(高徳庵)」という塔頭があり、そちらの脇にある小さな出入口を出て山の方に登っていくと、「最勝院奥の院」というところに着きます。この辺り一帯は古来より霊地として知られているそうです。
何があるかわからないような山道にあるためか、あるいは存在自体知られていないのかわかりませんが、私が行ったときは誰一人いませんでした…また、駒ヶ瀧という瀧があり(写真)、かつては修行者がこちらで瀧行をしていたそうです(季節的なものか、瀧といえるほどの水流はなかった…)。
霊地と呼ばれるにふさわしいような独特の雰囲気がありますので、パワースポットとして何かしらの恩恵がありそうです。お時間がありましたらぜひこちらもご覧ください。
フィクサーの住まい・塔頭「金地院」
南禅寺には周辺に塔頭(たっちゅう:別院)がいくつかあり、中でも有名なのが「金地院(こんちいん)」。歴史好きの方ならなんとなく聞いたことがある響きではないでしょうか?
戦国~江戸時代にかけて活躍した金地院崇伝こと、以心崇伝(いしんすうでん)が住んでいたところです。「黒衣の宰相」とも呼ばれ、江戸幕府のフィクサー的なお坊さんです。今の南禅寺があるのはこの方のおかげと言っても良いくらいだと思います。
金地院では小堀遠州作の「鶴亀の庭」や、狩野派による襖絵などご覧いただけます。また、こちらには家康の遺言により建立されたという東照宮があり(写真)、家康の遺髪と念持仏を祀っているそうです。天井に描かれた狩野探幽筆の「鳴龍」も力強いので、歴史好きな方はぜひお立ち寄りください!
ぐるっと南禅寺Around Nanzenji
南禅寺の境内には他にも注目してほしいスポットや展示物があります。
ここでは厳選してご紹介します。
境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は1時間くらいです
勅使門
寛永18年(1641年)に、御所にあった「日の御門」を明正天皇より拝領してこちらに移築されました。ここからは出入りできません。
中門
勅使門のすぐ隣にある門で、通用門になっています。慶長6年(1601年)に細川忠興の家臣・松井康之から自邸の門を寄進されました。
法堂
1895年(明治28年)に法堂の番をしていた方の火の不始末により焼失し、1909年(明治42年)に再建されました。天井に龍の絵が描かれています。
本坊(庫裏)
南禅寺のお坊さんの生活の場であり、寺務所になっています。こちらから方丈庭園の拝観ができるようになっています。
方丈
南禅寺の方丈は大方丈と小方丈からなり、ともに国宝に指定されています。お部屋が多くあり、お部屋ごとの襖絵を楽しむことができます。
方丈庭園
写真は大方丈の前にある庭園で、小堀遠州作と伝わっています。座って眺めることができます。南禅寺の庭園は全部で7つあります。
龍渕閣(りょうえんかく)
方丈に向かって左側にあります。こちらでは座禅や写経ができるようになっていて、文化講座も開かれるそうです。
真乗院
南禅寺の塔頭で、139世住持・香林宗簡(こうりんそうかん)により創建されました。応仁の乱の西軍の大将であった山名宗全のお墓があります。ただし、通常非公開です。
天授庵
南禅寺の塔頭で、第15世住持・虎関師錬(こかんしれん)により創建されました。応仁の乱で焼失後、細川幽斎により再建されました。こちらは常時拝観可能です。
金地院「明智門」
金地院の拝観受付を進んだところにあり、その名の通り明智光秀が寄進した門です。当初は大徳寺にあったもので、その後買い取ったそうです。
金地院「鶴亀の庭」
金地院にある小堀遠州作のお庭で、特別名勝に指定されています。鶴島と亀島の2つの島があることから「鶴亀の庭」と呼ばれてます。
南禅寺の紅葉
南禅寺は紅葉の名所として知られていて、毎年紅葉の季節になると多くの観光客で賑わいます。中でも塔頭・天授庵で見られる紅葉の人気が高いです。
御朱印
南禅寺の御朱印は本坊入口の左側でいただけます。私は「金剛王宝殿」と書かれた書置きの御朱印をいただきました。
アクセスと拝観情報Access & Information
南禅寺へは最寄駅から、あるいは最寄りのバス停から徒歩で行けます。
最寄り駅から徒歩で行く場合
南禅寺の最寄り駅は、地下鉄東西線「蹴上」駅です。
駅から北に向かって歩くと「蹴上トンネル(ねじりまんぽ)」がありますので、そちらをくぐって進んでいきます。
そのまま道なりに進んでいくと突き当り(駐車場)になりますので、そこを右へ曲がると南禅寺の中門が見えます。
蹴上駅から中門まで徒歩約6分です。
最寄りのバス停から徒歩で行く場合
南禅寺の最寄りのバス停は「南禅寺・永観堂道」です。
※停車するバスの系統は「5」のみです
バス停がある白川通を南に進んでいくと、「南禅寺前」という交差点に来ます。その交差点を左に曲がって直進すると、南禅寺の中門に着きます。
バス停から中門まで徒歩約10分です。
主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。
- 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
⇒5系統:乗車時間約36分 - 「四条烏丸 (地下鉄烏丸線「四条」駅)」から
⇒5系統:乗車時間約25分 - 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
⇒5系統:乗車時間約18分 - 「三条京阪前 (京阪「三条」駅)」から
⇒5系統:乗車時間約11分
乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。
拝観時間 | 【南禅寺境内】 8:40~17:00 (3/1~11/30) 8:40~16:30 (12/1~2/28) ※受付は終了20分前まで |
拝観料 | 【境内】 無料 【三門】 大人:600円 高校生:500円 中学生以下:400円 【方丈庭園】 大人:600円 高校生:500円 中学生以下:400円 【南禅院 (令和7年まで拝観不可)】 大人:400円 高校生:350円 中学生以下:250円 ※団体割引あり |
所在地 | 京都府京都市左京区南禅寺福地町86 |
TEL | 075-771-2846 |
ホームページ | https://nanzenji.or.jp/ |
その他 | 境内に有料駐車場有 |
ちょっとそこまでNeighborhood
南禅寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。
お時間があればぜひ一緒に行ってみてください
永観堂(禅林寺)
南禅寺の方丈近くにある門から北の方へ向かっていくと、歩いて4分ほどのところにあります。阿弥陀様が正面を向いていない「みかえり阿弥陀」で有名です。また、紅葉の名所としても知られています。
京都市動物園
「南禅寺前」交差点の近くにあります。明治36年(1903年)に全国で2番目に開園したという歴史ある動物園です。キリンやゾウ、トラなどを見ることができ、「おとぎの国」では動物と触れ合えます。
蹴上インクライン
南禅寺と同じ、地下鉄蹴上駅から行けます。全長582mの廃線跡で、世界最長と言われています。明治24(1891年)から昭和23年(1948年)まで運航されていました。線路沿いに桜が植えられていて、桜の名所としても知られています。
平安神宮
南禅寺の北西にあり、徒歩20分くらいで行けます。平安遷都1100年を記念して創建されました。祭神は桓武天皇と孝明天皇です。縁結びのご利益があると言われており、こちらで結婚式もできます。近くには京セラ美術館もあります。
南禅寺周辺地図
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南禅寺の開山である無関普門は東福寺の住持でありました。また、東福寺の三門も日本三大門の一つとして数えられています。