京都古寺【妙心寺】 

妙心寺についてAbout Myoshinji

妙心寺は臨済宗寺院の中で最も多くの末寺を有しており、「日本最大の禅寺」と呼ばれています。

よつぐ
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まずは妙心寺の歴史について簡単に見ていきますね

臨済宗妙心寺派大本山。山号は「正法山(しょうぼうざん)」。

花園法皇が花園離宮(花園御所)を禅寺に改めることを発願し、建武4年(1337年)に大徳寺の開山(初代住持)である宗峰妙超(そうほうみょうちょう)から「正法山妙心寺」と命名されました。

応永6年(1399年)には、妙心寺と関係の深かった大内義弘が足利義満に反旗を翻したため寺領を没収され、一時期途絶えてしまいます。再興が進められましたが、今度は応仁の乱で伽藍が焼失してしまいました。その後、後土御門天皇の妙心寺再興の綸旨(りんじ)や、室町幕府管領の細川家の庇護もあり、伽藍の再興が進められます。

江戸時代には引き続き諸堂が建てられていきますが、明治期の廃仏毀釈により大打撃を受けました。以後は専門道場や学校の創設など後学の育成に力を入れ、現在に至っています。

妙心寺の見どころ5選Highlights

妙心寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。

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ぜひここに注目しながら拝観してみてください

見事なり!伽藍の整然美

個人的に妙心寺でぜひ注目していただきたいのが、その伽藍(建物)の整然美!

勅使門から三門・仏殿・法堂・大方丈/大庫裏がきれいに南北一直線上に配置されています。こんな風にきれいに配置されているのは他の寺院と比べてもかなり珍しいとか。

ちなみに、妙心寺は独自の会計システムを整え、臨済宗寺院の中で最も多くの末寺を有するまでに発展したことから「妙心寺の算盤面(そろばんづら)」というニックネームがあるそうです。

数字に几帳面な風土がこういう伽藍の整然美につながったのでは?(あるいは逆の、伽藍が整然としているからお金の出入りにも几帳面になった?)となんとなく想像してしまいました笑

妙心寺オリジンの地・玉鳳院と開山堂

妙心寺について」でもご紹介したように、妙心寺は花園法皇が御所を寺に改めたのが始まりです。しかし、寺に改めたというだけで、お寺としての建物はありませんでした。

そこで花園法皇が建立したのが「玉鳳院」という塔頭で(写真)、現在も妙心寺の境内にあります(建物自体は再建されたもの)。つまり現在の玉鳳院がある場所は妙心寺発祥の地といえます。残念ながら玉鳳院は通常非公開で、門の外から眺めるしかできませんが、特別公開がたまにされています。

ちなみに玉鳳院のすぐ隣には、境内で最も古い建物である「開山堂」というお堂があり、妙心寺の開山である関山慧玄(かんざんえげん)禅師を祀っています。そういったことから玉鳳院と開山堂があるこの場所は、境内で最も神聖な場所とされているそうです。

尋常じゃない境内の広さと塔頭の数

妙心寺の境内はとにかく広いです!南北約600m、東西約550m、坪数10万坪…甲子園球場が8個入るそうです。しかし、妙心寺の境内は創建時からこのように広かったわけではありません。

永正6年(1509年)に利貞尼(りていに)という方が仁和寺の真乗院を買い取り、それを妙心寺に寄進したことで一気に境内が広くなったそうです。利貞尼の寄進で境内が広くなった分、塔頭もそれ以降増えていきます。現在では敷地内に36ヶ寺もあり、他の寺院を圧倒しています(ちなみに、敷地外の塔頭は10ヶ寺)。

塔頭への参道は写真のようにところどころ趣のある路地になっていて、のんびり塔頭散策するのも楽しいですよ!ただ時間帯にもよるかもしれませんが、境内は自転車で通行される方が結構多く、ビュンビュン横を通っていくのでヨソ見厳禁です!

拝観必須!法堂「天井画と梵鐘」

禅寺というとやはり法堂の天井画ですね。妙心寺法堂の天井画『雲龍図』は狩野探幽によって描かれたものです。

法堂では解説アナウンスが流れていて、それによるとどの角度から見ても龍と目が合う「八方にらみ」になっているとのこと。確かに目が合うように感じるような、感じないような…ぜひ実際にご覧ください!

また、法堂の出口近くでは、文武天皇2年(698年)に造られた「日本最古の梵鐘」も見ることができます。元々は鐘楼に飾っていたもので、NHKの「ゆく年くる年」でも鳴らされていたそうです。

ただ、今は撞くと壊れて(割れて)しまう恐れがあるため撞けないそうです。実際に鳴らされた音は解説アナウンス内でも聴けます。余韻がワオンワオンといい感じで、落ち着く音でした。

塔頭の庭園巡りもおすすめです

見どころの3番目でもご紹介したように、妙心寺の敷地内には36の塔頭があります。ほとんどは非公開のため拝観できませんが、「退蔵院」「大心院」「桂春院」では通年公開されており、それぞれにお庭があるので、ぜひ塔頭のお庭巡りもおすすめいたします!

個人的におすすめなのが三門のすぐ近くにある退蔵院のお庭。狩野元信の作庭と伝わる枯山水「元信の庭」や、「余香苑(よこうえん)」と呼ばれる池泉回遊式庭園(写真)などをご覧いただけます。また、余香苑には「大休庵」というお抹茶席があり、そちらでお抹茶をいただきながらお庭を楽しむことができます。

春のしだれ桜、秋の紅葉が特に人気があるので、その時期を狙って行くのもアリです。

ぐるっと妙心寺Around Myoshinji

妙心寺の境内で特に気になったものをいくつか取り上げておきます。

よつぐ
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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は40分くらいです
(塔頭への拝観時間は除く)

南総門

妙心寺の一番南にある門です。通用門になっています。慶長15年(1610年)に建立されました。重要文化財になっています。

勅使門

南総門の左側にあります。慶長15年(1610年)に建立されました。通常は閉じられており、新しい住職が来られる場合のみ開けられるそうです。重要文化財になっています。

三門

勅使門の北側にあります。慶長4年(1599年)に建立されました。2階建てになっており、2階には宝冠円通大士(観音菩薩)や十六羅漢像などが安置されています。拝観不可です。

浴室

三門の東(向かって右)にあります。明暦2年(1656年)に再建されたもので、元は明智光秀の菩提を弔うために造られたものであったことから「明智風呂」と呼ばれているそうです。

経蔵

仏殿の東(向かって右)にあります。延宝2年(1674年)に建立されました。「輪蔵」という八角形の回転式の書架があり、それを回すことでお経を読んだことになるそうです。非公開です。

大方丈

法堂の北側にあります。承応3年(1654年)に再建されました。仏間があり、阿弥陀三尊像が奉られています。大方丈の前面には庭園があるので、仏間に座ってゆっくりご覧いただけます。

開山堂唐門

開山堂前にある門は応永16年(1409年)に後小松天皇から賜ったもので、元は勅使門として使われていました。現在の勅使門ができたことで、こちらに移されました。

開山堂唐門の痕

開山堂の門にはいくつかへこみ傷のようなものがあります。こちらは応仁の乱の際に受けた鏃(やじり)の痕だと言われています。生々しい戦の跡を感じます。

御朱印

妙心寺の御朱印は大方丈入口にある拝観受付で書いていただけます。いくつか種類がありますが、私は「釈迦如来」にしていただきました。

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ここからは妙心寺の塔頭の一部です

玉鳳院

見どころでもご紹介しましたが、妙心寺でのお寺としての最初の建物です。現在の建物は明暦2年(1656年)に再建されました。数年に1度公開されることがあります。

龍泉庵

主要4塔頭の内の1つ。南総門の近くにあります。10世住持・景川宗隆(けいせんそうりゅう)が文明13年(1481年)に創建しました。塔頭の中で方丈が一番大きいそうです。

東海庵

主要4塔頭の内の1つ。法堂の東側にあります。11世住持・悟渓宗頓(ごけいそうとん)が文明16年(1484年)に創建しました。方丈前庭と書院南庭があります。

聖澤院(しょうたくいん)

主要4塔頭の内の1つ。法堂の西側にあります。18世住持・天蔭徳樹(てんいんとくじゅ)が細川氏や土岐政房などの支援を受け大永3年(1523年)に創建しました。

霊雲院

主要4塔頭の内の1つ。聖澤院の北にあります。25世住持・大休宗休(だいきゅうそうきゅう)が大永6年(1526年)に創建しました。狩野元信筆の障壁画があるそうです。

退蔵院

霊雲派。三門の西にあります。室町時代の武将・波多野重通が3世住持・無因宗因(むいんそういん)を開山として迎え応永11年(1404年)に創建しました。通年公開されており、枯山水や池泉回遊式庭園をご覧いただけます。

大法院

龍泉派。境内の西にあります。公卿の千種有能の室・長姫が祖父である松代藩主真田信之(真田幸村の兄)の菩提所として寛永2年(1625年)に創建しました。春と秋のみ限定公開されます。佐久間象山のお墓もあります。

大心院

龍泉派。細川政元が10世住持・景川宗隆(けいせんそうりゅう)を開祖として創建しました。その後、細川幽斎の援助により中興されました。通年公開されており、枯山水をご覧いただけます。また宿坊として利用できます。

東林院

霊雲派。大心院の東にあります。戦国大名・山名豊国が51世住持・直指宗諤(じきしそうがく)を開祖として弘治2年(1556年)に創建しました。通常非公開ですが、時期によって特別公開がされます。沙羅双樹が見られます。

桂春院

東海派。織田信忠(織田信長の子)の次男である津田秀則が73世住持・水庵宗掬(すいあんそうきく)を開山として迎え、慶長3年(1598年)に創建しました。通年公開されており、四つの庭園や狩野山雪の襖絵などが拝観できます。

大雄院(だいおういん)

東海派。尾張藩の家老・石河光忠が父の菩提を弔うため慧南慧譲(えなんげんじょう)を開山として迎え、慶長8年(1603年)に創建しました。通常非公開ですが、事前予約すれば拝観できます。座禅体験もできるそうです。

慧照院(えしょういん)

聖澤派。境外(花園会館の前)にある塔頭です。松平忠昌が103世住持・瑞雲宗呈(ずいうんそうてい)を開山として迎え、正室花姫の菩提所として創建しました。五色椿があり、開花の時期のみ拝観できます(事前連絡必要)。

アクセスと拝観情報Access & Information

妙心寺へは電車とバスどちらからでも行けます。

電車で行く場合

電車の最寄り駅はJR「花園」駅か、嵐電「妙心寺」駅です。

JR「花園」駅から行く場合

JR嵯峨野線「花園」駅から妙心寺へ行くには、改札を出てまっすぐ進むと大きな道(丸太町通)がありますので、その道を右の方へ進んでいきます。

しばらく歩くと「妙心寺前」というところで道が分岐しますので、左側の道を進みます。

そのまま道なりに進んでいくと南総門の前まで行けます。

花園駅から南総門まで徒歩約6分です。

嵐電「妙心寺」駅から行く場合

嵐電・京福北野線「妙心寺」駅から妙心寺へ行くには、踏切の通りを東の方へ進んでいくと、北総門の前に着きます。

その門をくぐってそのまま進むと法堂や仏殿などがあるところまで行けます。

妙心寺駅から北総門まで徒歩約3分です。

バスで行く場合

最寄りのバス停は「妙心寺北門前」か「妙心寺前」です。乗るバスによってバス停が変わりますのでご注意ください。

「妙心寺北門前」から行く場合

「妙心寺北門前」に停車するバスの系統は「10」「26」です

バス停がある通りを西へ進んでいくと、北総門の前に着きます。

その門をくぐってそのまま進むと法堂や仏殿などがあるところまで行けます。

バス停から北総門まで徒歩約1分です。

主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。

  • 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
    ⇒26系統:乗車時間約43分
  • 「西大路四条 (阪急 / 京福「西院」駅)」から
    ⇒26系統:乗車時間約17分
  • 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
    ⇒26系統:乗車時間約24分
  • 「烏丸丸太町 (地下鉄烏丸線「丸太町」駅)」から
    ⇒10系統:乗車時間約25分
  • 「三条京阪前 (京阪「三条」駅)」から
    ⇒10系統:乗車時間約38分
  • 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
    ⇒10系統:乗車時間約46分
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乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。

「妙心寺前」から行く場合

「妙心寺前」バス停に停車するバスの系統は、市バスの場合「91」「93」、京都バスの場合は「63」「65」「66」です。

バス停がある丸太町通を西に進んでいくと、「妙心寺前」という交差点に来ます。その交差点を右に曲がって直進すると、妙心寺の南総門の前に着きます。

バス停から南総門まで徒歩約4分です。

主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。

  • 「烏丸丸太町 (地下鉄烏丸線「丸太町」駅)」から
    ⇒市バス93系統:乗車時間約19分
  • 「西大路四条 (阪急 / 京福「西院」駅)」から
    ⇒市バス91系統:乗車時間約20分
  • 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
    ⇒市バス91系統:乗車時間約27分
  • 「四条烏丸 (地下鉄烏丸線「四条」駅)」から
    ⇒市バス91系統:乗車時間約33分
  • 「三条京阪前 (京阪「三条」駅)」から
    ⇒京都バス:乗車時間約27分
  • 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
    ⇒京都バス:乗車時間約34分
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乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。

拝観時間9:00~16:00
※12:00~13:00は拝観チケット販売不可
(拝観チケット販売は15:30まで)
拝観料大人(高校生以上):500円
中学生・小学生:200円
所在地京都市右京区花園妙心寺町1
TEL075-461-5226
ホームページhttps://www.myoshinji.or.jp/
その他境内に有料駐車場有
(参拝の場合、自家用車なら無料)

ちょっとそこまでNeighborhood

妙心寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

仁和寺

妙心寺の北総門からだと、北西に向かって徒歩12分ほどで行けます。宇多天皇により仁和4年(888年)に創建されました。「御室御所」とも言われ、皇族の方が代々門跡(住職)を務める門跡寺院でした。
仁和寺についてはこちらをご覧ください

等持院

妙心寺の北総門からだと、北東に向かって徒歩14分ほどで行けます。室町幕府足利氏の菩提寺で、足利尊氏のお墓があります。お抹茶席があり、お抹茶を飲みながらお庭をご覧いただけます。

龍安寺

妙心寺の北総門からだと北に向かって徒歩13分ほどで行けます。龍安寺は妙心寺の塔頭で、細川勝元が宝徳2年(1450年)に創建しました。「龍安寺の石庭」として世界的にも有名で、世界遺産にもなっています。
龍安寺についてはこちらをご覧ください

広隆寺

広隆寺はJR花園駅の1つ隣にある「太秦」が最寄り駅になります。飛鳥時代に秦河勝(はたのかわかつ)が創建したお寺で、京都で一番歴史のあるお寺です。国宝第1号の『弥勒菩薩像』をご覧いただけます。
広隆寺についてはこちらをご覧ください

妙心寺周辺地図