京都古寺【高山寺】  

高山寺についてAbout Kosanji

高山寺は境内に古木が生い茂り、自然豊かなところにある古寺です。

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まずは高山寺の歴史について簡単に見ていきますね

読み方は「こうさんじ」あるいは「こうざんじ」。真言宗系単立寺院(どこの宗派にも属していない寺院)。山号は「栂尾山(とがのおさん)」。世界遺産。

光仁天皇勅願の「神願寺都賀尾坊(とがのおぼう)」が始まりとされています。建永元年(1206年)、神護寺の別院があったこの地を明恵上人が後鳥羽上皇から賜り、「高山寺」となりました。
※「高山寺」の由来は、後鳥羽上皇から賜った勅額『日出先照高山之寺(日出でて先ず照らす高山の寺)』に由来

その後、南北朝時代や応仁・文明の乱に巻き込まれ次第に荒廃し、さらに細川晴元の高雄城攻めのあおりをうけ、伽藍の多くが焼失。

江戸期には復興されますが、明治期の廃仏毀釈の流れで打撃を受け、また上地により寺領が縮小し、現在に至っています。

高山寺の見どころ5選Highlights

高山寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。

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ぜひここに注目しながら拝観してみてください

四季折々を感じて…石水院

高山寺に来たらぜひ見ていただきたいのが国宝「石水院」。裏参道を登りきったところにあります。

石水院は高山寺境内に現存する「明恵上人時代の唯一の遺構」という貴重さもさることながら、開放的な縁台からの眺めには圧倒されますよ!前面の山が見事な借景になっていて、新緑や紅葉、雪景色と、四季折々の表情を味わうことができます。

割と高いところにありますが、周りはとても静かなので、谷を流れる清滝川のせせらぎが聞こえます。こんな貴重なBGM、ありがとうございます(?)

ちなみにこちらには茶席もあり、別料金にはなりますがお抹茶がいただけますので、自然の中でゆっくり時間を過ごしたい方はぜひ!

漫画のルーツがここに!『鳥獣人物戯画』

石水院にはもう1つ注目してほしいものとして、『鳥獣人物戯画』があります。『鳥獣人物戯画(鳥獣戯画)』という言葉を聞いたことがある人が多いと思いますが、そもそものオリジナルは高山寺に伝わるものということをご存じの方は少ないかもしれません(私は知らなかったです…)。
※ただし、展示されているものは複製のものです

『鳥獣人物戯画』は漫画のルーツとも言われていて、何やらキモかわいい(?)ウサギや猿、蛙たちがコミカルに描かれています。通常の漫画のようにセリフがないので具体的にどういう状況かは想像に任せるしかないのですが、その分大喜利的な感じで100人いれば100通りの物語が想像できそうです笑

ちなみに、石水院では『鳥獣人物戯画』グッズもあるので、鳥獣人物戯画好きさんにはたまらないはず!

もう一人の茶祖・日本最古之茶園

建仁寺の栄西禅師は宋から茶の種を持ち帰り、庶民にまで茶の文化を広めたということで茶祖と言われています。実はその持ち帰った茶の種は明恵上人に贈られ、ここ栂尾で栽培されました。はじめての日本産の茶が栽培されたということで、高山寺には「日本最古之茶園」の碑(写真)が建っており、明恵上人も栄西禅師とともに茶祖と言われています。

栂尾産のお茶は「本茶」、それ以外のお茶は「非茶」と呼ばれていたようで、非茶というと「茶にあらず」という意味にも取られてしまいそうですが、純粋に「栂尾産以外のお茶」という意味しかないそうです。伝説のホスト・ROLAND氏風に言うと、「世の中には2種類の茶しかいない。本茶か、本茶以外(非茶)か。」という感じです(?)

ちなみに、栂尾の茶の木は全国に広がり、最高級茶として知られる宇治茶も元は栂尾の茶の木だったそうです。

歌にもなった?・表参道

「京都~ 大原 三千院~♪」で始まる『女ひとり』という曲をご存じの方は多いと思います。しかし『女ひとり』の2番は高山寺(「京都~ 栂尾 高山寺~♪」)だということをご存じの方は少ないかもしれません。
※ちなみに3番は「京都~ 嵐山 大覚寺~♪」

2番は、恋に疲れた女性がひとり高山寺に来て、着物の帯が石畳に影を落としているという状況を歌っています。この石畳というのが具体的にどこかはわかりませんが、おそらくここではないかというのが高山寺の表参道。写真をご覧の通り、地面に等間隔で石敷きが連なり、とても印象的です。

バス停からは裏参道の方が近いですが、ぜひお帰りは表参道に立ち寄ってみてください。
※ただ残念ながら私が行った時は工事中でした…

自然と共生してきた歴史

高山寺の境内をぐるっとまわっていると、大木があちこちにあるのが見受けられ、自然との近さを感じます。

ただ、自然と近いために平成30年(2018年)には台風で樹齢100年~300年のスギやヒノキが300本以上倒れ、金堂が半壊するなどの大きな被害を受けてしまいました。
※クラウドファンディング等により現在は復旧されました

現在でも大雨や台風等の影響のために一時的に境内がすべてまわれないこともあるそうですので、高山寺に来られる時はそういう心づもりが必要です。

自然むき出しの境内をまわりながら、高山寺はこういった自然と共生して脈々と法灯をつないできたんだなとしみじみ感じました。

明恵上人列伝

高山寺中興の祖・明恵上人には色んな逸話があるようで、個人的に驚いたのが耳を切ったという話。お釈迦さまは世俗と離れるため髪の毛を切ったが今やそれが当たり前なので、髪の毛を切るだけではダメだということで自分の右耳を切ったとか…それを表すように開山堂(写真)に安置されている明恵上人像(拝観不可)の右耳は上部に切れ込みがあるそうです。

また、明恵上人は和歌を多く残しており、和歌はストレートに気持ちを詠むもんだ!ということで次のような和歌を残されました。

「あかあかや あかあかあかや あかあかや あかあかあかや あかあかや月」

相当月の光が明るかったんだろうなぁ~、とてもシンプルだけど状況が伝わる不思議な和歌…。

ぐるっと高山寺Around Kosanji

高山寺の境内で見どころ以外で気になったものをご紹介します。

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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は30分くらいです

廂(ひさし)の間

石水院の中にあります。石水院ではかつて春日・住吉明神を祀っており、その拝殿として使われていたのが廂の間です。かわいい善財童子がいます。

遺香庵

石水院の北側にある茶室や庭園です。事前予約制の特別拝観でのみ拝観できます。名前の通り、近づくととても甘い香りがします。

開山廟

境内一番奥の東側にあります。高山寺の中興の祖・明恵上人をはじめ、歴代住持の墓所です。近づいて見ることはできません。

金堂

高山寺の金堂は元は仁和寺にあったもので、寛永年間(1624年~1644年)にこちらに移されたそうです。御本尊は釈迦如来ですが、お顔ははっきり見えません。

旧石水院址

かつて石水院は金堂の東(向かって左側)にあり、洪水により壊れた後、再建されました。明治23年(1889年)に現在地に移されました。跡地には木々が生えています。

仏足石

金堂の前方にある広場のようなところにあります。仏足石はお釈迦様の足跡をかたどったものとされ、他のお寺でもよく見られます。境内には「仏足石参道」という石碑も見受けられます。

高山寺の紅葉

高山寺を含む栂尾は紅葉の名所として知られています。石水院で見る紅葉は格別です。京都市内中心部に比べて気温が低いため、やや早めに咲くそうです。

御朱印

高山寺の御朱印は石水院の拝観受付でいただけます。書置きのみとなります。「釈迦如来」と書かれており、鳥獣人物戯画のウサギも描かれています笑

アクセスと拝観情報Access & Information

高山寺へは最寄りのバス停から徒歩で行けます。

最寄りのバス停から行く場合

高山寺の最寄りのバス停は「栂ノ尾」です。
※停車するバスの系統は市バス「8」系統とJRバスです

バス停の近くに「高山寺裏参道」の入口があるので、そこから道なりに石段を登っていく石水院の近くに来ます。

バス停から裏参道入口まで徒歩約1分ほど、裏参道から石水院まで徒歩約5分ほどです。
※石段は少しキツめです…

主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。

  • 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
    ⇒JRバス:乗車時間約54分
  • 「西ノ京円町 (JR「円町」駅)」から
    ⇒JRバス:乗車時間約29分
  • 「西大路四条 (阪急 / 京福「西院」駅 )」から
    ⇒市バス8系統:乗車時間約39分
  • 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
    ⇒JRバス:乗車時間約42分
    ⇒市バス8系統:乗車時間約46分
  • 「四条烏丸 (地下鉄烏丸線「四条」駅)」から
    ⇒市バス8系統:乗車時間約52分
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乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。

拝観時間8:30~17:00
拝観料【境内】
無料
(ただし秋期は500円)

【石水院】
大人(中学生以上):1000円
小学生:500円

※修学旅行生割引あり
※身障者割引あり
所在地京都市右京区梅ヶ畑栂尾町8
TEL075-861-4204
ホームページhttps://kosanji.com/
その他無料駐車場有
(ただし11月は有料)

ちょっとそこまでNeighborhood

高山寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

西明寺

高山寺の南西にあるお寺で、高山寺からだと徒歩12分くらいで行けます。周山街道沿いを歩き「高雄神護寺前」の分岐道を右へ行き、「指月橋」を目指していくと早いです。空海の弟子・智泉によって創建され、こちらでも高山寺と同様、紅葉の名所として知られています。

神護寺

高山寺の南西にあるお寺で、高山寺からだと徒歩25分くらいで行けます。西明寺の境内から神護寺へ行けるので、高山寺・西明寺・神護寺は一緒に拝観するのがおすすめです。かつて明恵上人も学んでいたお寺で、こちらも紅葉の名所として知られています。
「神護寺」についてはこちらをご覧ください

高山寺周辺地図