京都古寺【建仁寺】  

建仁寺についてAbout Kenninji

建仁寺は京都最古の禅寺で、地元では「けんねんさん」で親しまれているお寺です。

よつぐ
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まずは建仁寺の歴史について簡単に見ていきますね

臨済宗建仁寺派大本山。山号は「東山(とうざん)」。

鎌倉幕府二代将軍、源頼家から寺域の寄進を受けた栄西(ようさい/えいさい)禅師が建仁2年(1202年)に建立しました。
※ちなみに、寺名はその時の元号である「建仁」からとられています

当初は、禅宗だけでなく天台宗や真言宗も学べる「兼修禅」の道場でしたが、第11世住持である蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)の時から「純粋禅」の道場へと変化します。

その後建仁寺は火災による被害と復興を度々繰り返しますが、神仏分離令からくる廃仏毀釈の流れの影響から、最盛期には60ほどあった塔頭は14にまで減りました。また、上地(土地を政府に上納)により境内の面積が半分近くになり、現在に至っています。

建仁寺の見どころ5選Highlights

建仁寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。

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ぜひここに注目しながら拝観してみてください

ガーデンアーティストの共演・本坊庭園

建仁寺で個人的におすすめと言ったらやはり本坊の庭園。こちらでは複数のお庭が楽しめますよ。

まずは「植熊」こと加藤熊吉氏が作庭した『大雄苑(だいおうえん)』。「大雄」の名にふさわしく、雄大な枯山水になっています。方丈の縁側に座ってゆっくりご覧いただけます。

続いて現代の小堀遠州ともいわれる北山安夫氏監修の『潮音庭(ちょうおんてい)』。潮音庭の周りは通路になっていて360度どこからでもご覧いただけますが、北側には写真のように椅子が置かれていますので、そちらでゆっくり座ってご覧いただけます。

お庭界のアーティストが建仁寺の方丈庭園を通して共演(競演?)しているようで、ぜいたくな気分になれます笑

本坊アートギャラリーその1:『風神雷神図屏風』

建仁寺の本坊ではお庭だけでなく、屏風や襖絵、掛け軸なども多数あり、本坊全体がアートギャラリーのようになっています。

特に有名なのが俵屋宗達晩年の最高傑作といわれる『風神雷神図屏風』でしょう。金の屏風に右側には風神様(緑)、左側には雷神様(白)がいらっしゃいます。建仁寺に来たらこれは必見です!
※風神様を見ると、どうしても「風邪ひいてまんねん」のCMを思い出してしまう…笑

ちなみに、こちらの『風神雷神図屏風』は複製品で、オリジナルは現在京都国立博物館に寄託されています。ただ、複製品と言っても約42億画素のカメラで撮影され、高性能プリンタで作成されたものなので、実物にかなり近くなっているのではないかと思います。
※複製品ということもあり写真撮影可です

本坊アートギャラリーその2:『雲龍図』

もう1つ本坊でぜひ見ておきたいのが海北友松筆の襖絵『雲龍図』です。こちらは本坊内の方丈にあります。

ギョロっとした龍の目、ゴツっとした龍の背骨、ガリっとした龍の爪などなど…何と言って表現したらよいのかわかりませんが、とにかく龍の力強さがにじみ出ています。

私のような絵の素人はたくさんの色を使って絵を描こうとしがちですが、黒一色だけでここまで表現できるのか!と思えるぐらいのものです。

こちらの『雲龍図』も『風神雷神図屏風』と同様に複製品で、オリジナルは現在京都国立博物館に寄託されています。ちなみに、オリジナルは現在は襖から切り取られ、掛け軸になっています。

法堂天井画もありますよ!

本坊のアートギャラリーも素晴らしいのですが、法堂「拈華堂(ねんげどう)」に描かれている天井画『双龍図』も見ごたえがありますよ。

法堂は明和2年(1765年)に再建されたもので、『双龍図』は2002年(平成14年)に建仁寺創建800年を記念して、小泉淳作氏により描かれました。

畳108畳分にも及ぶ大きなもので、完成まで実に2年かかったそうです。他の拝観者から「おぉ~、かっこいい~」と思わず声が漏れ出てしまうほどの力作なので、こちらもぜひご覧ください!

ちなみに、法堂内部へは大雄苑の隣にある通路から赤いスリッパを履いて行きます。
※こちらも写真撮影もOKです

猪だらけ・禅居庵「摩利支天堂」

建仁寺の塔頭で、いつでも行けるのが境内の南西にある「禅居庵(ぜんきょあん)」です。

禅居庵には日本三大摩利支天の一つといわれる「摩利支天堂」があります。摩利支天は武運に優れたご利益がある神様とされていたことから武将、特に戦国大名に人気がありました。それにあやかってか、現在のお堂は織田信長の父・信秀が再建したものです。

摩利支天堂に行くとわかるのですが、あちこち猪でいっぱいで、しかも狛犬ではなく狛猪になっています…なぜ猪なのかというと摩利支天は七頭の猪に乗った姿で描かれることが多いからとか。

ちなみに、手前には「ゆずりあいの道」という非常に狭い道があるので、そこでの猪突猛進は厳禁です笑

栄西禅師の功績を称えて・茶碑

建仁寺の開山である栄西禅師は宋から茶の種を持ち帰り、貴族だけでなく武士や庶民にまで茶を広めたきっかけを作ったとして、「茶祖」と言われています。

それを顕彰して、建仁寺の境内には「栄西禅師茶碑(写真)」が建てられています。
※残念ながら近づいて見ることはできません

ちなみに、建仁寺では栄西禅師の誕生日である4月20日に栄西禅師を偲ぶ法要が行われた後、「四頭茶会(よつがしらちゃかい)」という儀式が行われています。

一般の方でも事前予約すれば参加可能ですので(別途費用必要)、ご興味のある方はご参加されてみてはいかがでしょうか?

ぐるっと建仁寺Around Kenninji

建仁寺の境内で特に気になったものをいくつか取り上げておきます。

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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は40分くらいです
(塔頭への拝観時間は除く)

勅使門

境内の南にあります。平教盛の館にあったものを移築したと言われています。扉に矢の痕があることから「矢の根門」とも言われています。こちらから出入りすることはできません。

三門

勅使門の北にあります。大正12年(1923年)に安寧寺(静岡県)から移築されたもので、「望闕楼(ぼうけつろう)」とも言われています。楼上には釈迦如来、迦葉・阿難両尊者と十六羅漢が祀られています。

開山堂

三門の東にあります。建仁寺の開山となった栄西禅師の墓所です。前には「宝陀閣(ほうだかく)」とよばれ楼門が建っています。こちらは非公開のため、中に入ることはできません。

浴室

開山堂の南にあります。浴室は今でいうところのサウナのようなところです。寛永5年(1628年)に第295世住持・三江紹益(さんこうじょうえき)によって建立されました。非公開のため、入ることはできません。

本坊

境内の北にあります。建仁寺の寺務所や、方丈があるところです。こちらで襖絵や屏風、庭園などを拝観することができます。靴を脱いで入り、本坊内では飲食はできません。カメラ撮影は可能です。

方丈

こちらは文明19年(1487年)に建立されたもので、元は安芸国(現在の広島県)の安国寺にあったものを僧・恵瓊(えけい)により移築されました。こちらに海北友松の『雲龍図』があります。

大雄苑

方丈の前にあります。見どころでもご紹介しましたが、「植熊」こと加藤熊吉氏により作庭されました。大雄苑に向かって右奥には織田信長の供養塔もあります。

〇△□乃庭

拝観受付を入ってしばらく歩くとあります。読み方はそのまま「まる・さんかく・しかくのにわ」です。お庭に〇△□が隠されています。〇と□はわかりやすいと思いますが、△はどこか現地で探してみてください。

御朱印

建仁寺の御朱印は本坊でいただけます。法堂の「拈華堂」と書かかれた、書置きの御朱印がいただけます。

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ここからは建仁寺の塔頭(一部)です

禅居庵

見どころでもご紹介しました。境内の南西、勅使門の近くにあります。第23世住持・清拙正澄(せいせつしょうちょう)を開山として小笠原貞宗が創建しました。こちらはいつでも拝観可能です。

久昌院(きゅうしょういん)

禅居庵の北にあります。慶長13年(1608年)に奥平信昌と子・松平忠明が第295世住持・三江紹益を開山として創建しました。通常非公開ですが、期間限定で特別拝観があります。

堆雲軒(たいうんけん)

久昌院の北にあります。第26世住持・高山慈照(こうざんじしょう)を勧請開山として創建されました。非公開塔頭になっていますので、拝観はできません。

興雲庵

西門の北にあり、第22世住持・石梁仁恭(せきりょうにんきょう)が創建しました。陀枳尼(だきに)尊天(豊川稲荷)を祀っていることから、地元では「おいなりさんの寺」と言われています。

正伝永源院

方丈などの北側にある団栗通沿いにあります。第12世住持・義翁紹仁(ぎおうしょうじん)が創建した正伝院が始まり。通常非公開ですが、時期によって特別公開がされています。

大中院

北門のすぐ近くにあります。第27世住持・東海竺源(とうかいじくげん)が創建しました。非公開塔頭になっていますので、拝観はできません。

西来院(せいらいいん)

仏殿の東側にあります。第11世住持・蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)により創建されました。通常非公開ですが、蘭渓道隆750年遠忌記念を受けて公開されています。

両足院

西来院の南にあります。第35世住持・龍山徳見(りょうざんとっけん)により創建されました。毘沙門天堂があり、祀られている毘沙門天は元は鞍馬寺の毘沙門天の胎内仏だったそうです。

霊洞院

開山堂の東側にあります。堆雲軒と同じく第26世住持・高山慈照を勧請開山として創建されました。現在は建仁寺派の修行道場になっているため拝観はできません。

霊源院

霊洞院の南東にあります。第35世住持・龍山徳見を勧請開山として創建されました。事前予約すれば、写経や写仏・座禅体験などができます。住職による法話も聞けるそうです。

大統院

霊源院の東側、境内の最南東にあります。第35世住持・青山慈永(せいざんじえい)が創建しました。非公開塔頭になっていますので、拝観はできません。

六道珍皇寺

霊源院の南で、境外にあります。建仁寺の塔頭ですが創建は建仁寺より古く、延暦年間(782年~805年)とされています。開山は大安寺(奈良)の住持であった慶俊や空海、小野篁(たかむら)、山代淡海など色んな説があります。

アクセスと拝観情報Access & Information

建仁寺へは最寄駅から、あるいは最寄りのバス停から徒歩で行けます。

最寄り駅から徒歩で行く場合

建仁寺の最寄駅は京阪本線の「祇園四条」駅です。

祇園四条駅の1番出口を出て、団栗通を東へ突き当りまで進みます。

突き当りまで来たら右へ曲がりそのまま進むと建仁寺の北門まできます。

祇園四条駅1番出口から北門まで徒歩でおよそ5分です。

最寄りのバス停から徒歩で行く場合

建仁寺の最寄りのバス停は「東山安井」です。
※停車するバスは市バス「86」「106」「202」「206」「207」「58 (土日祝のみ)」系統と、京都バスです

バス停から南へ進み、八坂通まで来たら右へ曲がります。

そのまま進んでいくと建仁寺の勅使門まで来ます。勅使門の隣に小さな出入口がありますので、そこから境内に入れます。

バス停から勅使門まで徒歩約7分です。

主要バス停(駅)からの乗車時間は下記の通りです。

  • 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
    ⇒58 / 86 / 206系統:乗車時間約18分
  • 「四条京阪前 (京阪「祇園四条」駅)」から
    ※駅から徒歩で行った方が近いです
  • 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
    ⇒58 / 207系統:乗車時間約7分
    ※徒歩だと約12分で行けます
  • 「四条烏丸 (地下鉄烏丸線「四条」駅)」から
    ⇒58 / 207系統:乗車時間約13分
  • 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
    ⇒207系統:乗車時間約19分
  • 「九条近鉄前 (近鉄「東寺」駅)」から
    ⇒202 / 207系統:乗車時間約25分
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乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。

拝観時間10:00~16:30
※閉門は17:00
拝観料【境内】
無料

【方丈・法堂】
大人:800円
小学生・中学生・高校生:500円
所在地京都市東山区大和大路通四条下る小松町
TEL075-561-6363
ホームページhttps://www.kenninji.jp/
その他北門近くに有料駐車場有

ちょっとそこまでNeighborhood

建仁寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

京都ゑびす神社

建仁寺の西にあり、禅居庵からですと徒歩1分ほどで行けます。建仁寺の鎮守社として創建されました。商売繁盛の神様、ゑびす様を祀っています。西宮神社・大阪今宮神社と並んで日本三大ゑびすの1つです。

安井金比羅宮

建仁寺の東にあり、北門からですと徒歩3分ほどで行けます。藤原鎌足が創建し、崇徳天皇・大物主神(おおものぬしのかみ)・源頼政が御祭神です。縁切り・縁結びの神社としても有名です。

六波羅蜜寺

建仁寺の南にあり、勅使門からですと徒歩4分ほどで行けます。教科書でお馴染みの「空也上人像」や「平清盛坐像」が見られる宝物館「令和館」がおすすめです。

八坂の塔(法観寺)

建仁寺の東にあり、勅使門からですと徒歩9分ほどで一直線で行けます。臨済宗建仁寺派の寺院で、「八坂の塔」と呼ばれる五重塔が有名です。

建仁寺周辺地図