京都古寺【知恩院】  

知恩院についてAbout Chion-in

知恩院は浄土宗信徒にとっては聖地のようなところで、全国から多くの方が参られるお寺です。

よつぐ
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まずは知恩院の歴史について簡単に見ていきますね

浄土宗総本山。正式名称は「華頂山(かちょうざん)知恩教院大谷寺」。

浄土宗開祖・法然上人の入滅後、晩年に住まいとしていた南禅院の近くに廟堂が築かれ、次第に信仰を集めることになりました。

江戸時代になると、熱心な浄土宗信徒であった徳川家康からの支援により寺領が拡大し、伽藍の造営や再建が進められました。現在の建物はほとんどが江戸時代になって建立されたものだと言われています。また、皇族が住持(浄土門主)となったことで皇室からの後ろ盾も得、寺勢の隆盛を迎えます。

明治期には徳川家からの庇護が受けられなくなり財政的危機に陥りますが、福田行誡(ぎょうかい)上人らの奔走により克服。令和6年(2024年)には浄土宗開宗850年を迎え、知恩院は今なお篤い信仰を集めています。

知恩院の見どころ5選Highlights

知恩院の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。

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ぜひここに注目しながら拝観してみてください

圧倒的大迫力!御影堂

知恩院といったらやはり本堂である国宝「御影堂」です。その大きさ(横幅44.84m、奥行34.25m)には圧倒されること間違いなし!こちらには浄土宗開祖である法然上人の御影(像)が安置されています。

現在の御影堂は寛文16年(1639年)に徳川家光によって再建され、完成に6年もかかったそうです。知恩院境内で一番大きいお堂であることから、徳川家ならびに知恩院からの法然上人に対する尊崇の念の強さをうかがい知ることができます。

御影堂内は内陣と外陣に分かれており、外陣であれば一般の参拝客でも入ることが可能です。ちなみに知恩院では「おにっちゅう」と呼ばれる法要が毎日午前11時から行われているので、それに合わせて拝観されるのも良いかもしれません。
※法要前には法話も聞けるそうです

ここから始まる物語…三門

知恩院は御影堂の大きさもさることながら、三門の大きさも半端がありません!もうかれこれ20年以上前になりますが、初めて見た時の衝撃は今でも忘れられません。

三門と言えば、日本三大門にも数えられている東福寺南禅寺が有名ですが、それらに全く引けをとらないインパクトがあります。
※と言いますか、高さで言ったら知恩院の三門の方が高い

三門自体もちろん素晴らしいですが、三門から見える「男坂」の風景が個人的に好きです(写真)。最初にこれを見せられたら、なにやら楽しい物語が始まりそうな予感…笑

でも男坂は1段の高さが大きくて上るのが大変なので、私はいつも男坂の右側にある女坂の方を上って行くんですけどね笑

知恩院オリジンの地・勢至堂

御影堂の東側(向かって右)にある階段を上っていくと、左手に「勢至(せいし)堂」というお堂があります。その名の通り、勢至菩薩様を御本尊とするお堂です。

現在のお堂は享禄3年(1530年)に再建されたものですが、知恩院の境内の中では最古の建物になります。

実はこの勢至堂は元は法然上人を祀る御影堂(旧本堂)で、ここは法然上人が晩年お住いになっていた南禅院があった場所です。

ここに旧御影堂が建てられ、そして現在の勢至堂となりました。知恩院の歴史がスタートした、いわば「知恩院オリジン(元祖知恩院)の地」です。

観光目的でも安心・方丈庭園&友禅苑

京都のお寺はどこに行っても方丈のお庭が素晴らしいのが特徴です。

知恩院でも御影堂東側に素晴らしい方丈庭園があります。こちらでは東山をバックにして、桜や紅葉などを楽しむことができます。また、方丈庭園を進んでいくと山亭庭園というところがあり、そこから見える風景もいい感じです(写真)。

その他、知恩院には三門近くに「友禅苑」というお庭もあります。こちらは友禅染の始祖・宮崎友禅生誕300年を記念して造られたそうです。こちらでも桜や紅葉など見ることができます。

知恩院は信徒の方が法要関係で参拝されることが多く、あまり観光者向けのお寺ではありませんが、お庭が2つもあるとゆっくり楽しめるのではないでしょうか?

祇園女子の味方・濡髪大明神

勢至堂の横手の通路を突き当りまで行くと「濡髪(ぬれかみ)大明神」という珍しい名前の神社があります。この神社の起こりが面白いので少しご紹介します。

昔、知恩院にキツネが住んでいました。しかし、御影堂ができたためにキツネは住家を追われてしまいました。そこでキツネは童子に化け、当時の門主である霊巌(れいがん)上人に現在の濡髪大明神の場所を用意してもらいました。この時、童子(キツネ)の髪が濡れていたことから「濡髪」となったそうです。

当初は「濡髪」という名前から水を連想させるため、火除けの神様として信仰されていましたが、今では「濡髪」という艶やかな響きから、祇園花街の女性からの信仰が篤く、縁結びの神様として信仰を集めているそうです。

「知恩院の七不思議」巡りもいかがですか?

知恩院には古くから伝わる七不思議があるそうです。その7つと、見られる場所は次の通りです。

鶯張りの廊下 (方丈)  白木の棺 (三門・非公開)
忘れ傘 (御影堂)  抜け雀 (方丈)
三方正面真向きの猫 (方丈)  大杓子 (方丈)
瓜生石 (黒門前)

写真は「忘れ傘」があるところで(「忘れ傘はこの上」と書かれている木札をたどっていくと、網がかかっているところにわずかに見えました)、落語などでお馴染みの左甚五郎が魔除けとして置いていったとか、先ほどの濡髪の童子(キツネ)が置いていったとか…七不思議の詳しい説明書きは方丈でもらえますので、ぜひ七不思議巡りもお楽しみください!

ぐるっと知恩院Around Chion-in

知恩院の境内には他にも注目してほしいスポットや展示物があります。
ここでは厳選してご紹介します。

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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は40分くらいです

阿弥陀堂

御影堂の西(向かって左)にあります。浄土宗の御本尊である阿弥陀如来坐像が安置されています。現在の建物は明治43年(1910年)に再建されたもので、元は勢至堂の前にあったそうです。

経蔵

御影堂の東(向かって右)にあります。元和7年(1621年)に建立されました。徳川秀忠が寄附した『宋版一切経』を安置する八角輪蔵(回転式の書架)があります。ただし内部非公開です。

集会堂(しゅえどう)

御影堂の裏(北側)にあります。寛永12年(1635年)に徳川家光により再建されました。御影堂と通路でつながっており、方丈庭園へはここを通って行きます。

唐門(勅使門)

御影堂の北西(方丈庭園への入口)にあります。寛永18年(1641年)に徳川家光によって建立されました。ここから出入りすることはできません。

慈鎮石

方丈庭園内にあります。九条兼実の弟で天台座主である慈鎮和尚がこの石の上で座禅をしたと言われています。和尚石、座禅石とも呼ぶそうです。

二十五菩薩の庭

こちらも方丈庭園にあります。臨終の際に、西方浄土から25体の菩薩が阿弥陀如来とともにやってくるという場面を表現しているそうです。

権現堂

方丈庭園を進んでいくとあります。知恩院の発展に寄与した徳川三代(家康・秀忠・家光)の位牌と肖像画を安置しています。

大鐘楼

境内の南側で、少し高台にあります。その名の通り大きな鐘楼で、日本三大名鐘(奈良東大寺・京都方広寺)の一つに挙げられています。

御廟

勢至堂の近くにあります。法然上人入滅後に建てられ、法然上人の遺骨が奉られています。現在の建物は慶長18年(1613年)に改築されたものです。

葵の御紋

境内には至る所で徳川家の三つ葉の御紋が見られます。徳川家康の母・於大(おだい)の方の菩提寺となり、以後徳川家の援助を受けるようになりました。

黒門

境内北西にある門です。戦国武将・山岡景友(道阿弥)が伏見城にあった門をこちらに移築したものと言われています。こちらからでも出入り可能です。

崇泰院(そうたいいん)

知恩院の塔頭です。三門前の通りを北に向かっていくとあります。元々こちらに浄土真宗開祖・親鸞上人の廟堂があり、「元大谷」とも呼ばれています。

瓜生石

黒門の前にあります。「知恩院七不思議」の一つになっています。種もないのにこの石から瓜が青々と実ったという言い伝えがあることから瓜生石と呼ばれています。

千姫のお墓

勢至堂の奥にあり、濡髪大明神のすぐ前にあります。徳川秀忠の娘で、豊臣秀頼の正室となった千姫のお墓です。知恩院は徳川家の菩提寺ということもあり、こちらに分骨されたそうです。

御朱印

知恩院の御朱印は阿弥陀堂近くの御朱印所でいただけます。いくつか種類がありますが、私は御詠歌の「草も木も 枯れたる野辺に ただひとり 松のみ残る 弥陀の本願」にしました。

アクセスと拝観情報Access & Information

知恩院へは最寄駅から、あるいは最寄りのバス停から徒歩で行けます。

最寄り駅から徒歩で行く場合

知恩院の最寄り駅は、地下鉄東西線「東山」駅です。

三条通に沿って東へ進み、「三条神宮通」の交差点で右へ曲がります。

そのまま直進すると知恩院の三門前に到着します。
※手前に小さめの「黒門」がありますが、そちらからでも境内に入れます

東山駅から三門まで徒歩だと約12分で着きます。

最寄りのバス停から徒歩で行く場合

知恩院の最寄りのバス停は「知恩院前」か「祇園」です。

「祇園」の方が八坂神社に近いため、個人的には「祇園」で降りられることをおすすめします。
※停車するバスの系統は「12」「31」「46」「80」「86」「201」「202」「203」「206」「207」「58(土日祝のみ)」「100(土日祝のみ)」です

東大路通を北へ向かって進むと右側に「新門」がありますので、その門をくぐって突き当りまで行くと三門が見えます。

主要バス停(駅)から「祇園」までの乗車時間は下記の通りです。

  • 「京都駅前 (各線「京都」駅)」から
    ⇒86 / 206系統:乗車時間約21分
  • 「九条近鉄前 (近鉄「東寺」駅)」から
    ⇒202 / 207系統:乗車時間約28分
  • 「四条烏丸 (地下鉄烏丸線「四条」駅)」から
    ⇒31 / 201 / 203 / 207系統:乗車時間約11分
  • 「四条京阪前 (京阪「祇園四条」駅)」から
    ⇒46 / 201 / 203 / 207系統:乗車時間約3分
    ※徒歩だと約15分で行けます
  • 「四条河原町 (阪急「河原町」駅)」から
    ⇒46 / 201 / 203 / 207系統:乗車時間約5分
    ※徒歩だと約19分で行けます
  • 「四条大宮 (阪急「大宮」駅 / 京福「四条大宮」駅)」から
    ⇒46 / 201 / 203 /207系統:乗車時間約18分
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乗車時間は目安です。交通状況等により大幅に変わることがありますのでご了承ください。

拝観時間【境内】
5:00~16:00(6月~8月)
5:30~16:00(3月~5月/9月~11月)
6:00~16:00(12月~2月)
※各所受付は9:00から

【方丈庭園】
9:00~15:50

【友禅苑】
9:00~16:00

※方丈庭園と友禅苑の共通券は15:20まで
拝観料
(通常)
【境内】
無料

【方丈庭園】
大人(高校生以上):400円
中学生・小学生:200円

【友禅苑】
大人(高校生以上):300円
中学生・小学生:150円

【方丈庭園・友禅苑共通券】
大人(高校生以上):500円
中学生・小学生:250円

※団体割引あり
所在地京都市東山区林下町400
TEL075-531-2111
ホームページhttps://www.chion-in.or.jp/
その他境内に駐車場無し
(近隣に有料駐車場有)

ちょっとそこまでNeighborhood

知恩院の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

青蓮院門跡

知恩院三門前の道路を北へ徒歩約4分進むと着きます。最澄が創建者と伝わる天台宗の門跡寺院(住職が皇室あるいは摂関家出身の方であった寺院)で、写真のように優美なお庭が楽しめます。

円山公園

知恩院三門前の道路を南に徒歩2分ほど進むと南門があり、その門をくぐると円山公園になります。枝垂桜が有名です。また、園内には坂本龍馬と中岡慎太郎の銅像があります(写真)。

八坂神社

知恩院の南西にあり、円山公園内を通っていくと、三門から徒歩7分ほどで八坂神社の本殿前に着きます。「祇園さん」の愛称で呼ばれ、おそらく京都で一番有名な神社だと思います。素戔嗚尊(すさのをのみこと)をはじめとして、多くの神様をお祀りしています。

平安神宮

知恩院三門前の道路を北へ徒歩約15分進んでいくとあります。平安遷都1100年を記念して創建されました。祭神は桓武天皇と孝明天皇です。縁結びのご利益があると言われており、こちらで結婚式もできます。近くには京セラ美術館もあります。

知恩院周辺地図